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「若冲展」が始まった!!~生きものを見つめるやさしい眼差し

「若冲展」が始まった!!~生きものを見つめるやさしい眼差し
4月22日、「若冲展」が始まった。初日から多くの来場者が詰めかけていた

東京・上野の東京都美術館で「生誕300年記念若冲展」が始まりました(会期:4月22日~5月24日)。

 

小生にとっては待ちに待った若冲展です。何年か前、著書『奇想の系譜』で知られる美術史家の辻惟雄さんを講師に、伊藤若冲を題材とする番組テキストの制作に携わって以来、伊藤若冲作品展の開催を心待ちにしていました。

 

江戸中期を生きた伊藤若冲(1716-1800)。彼の40歳代の作品「動植綵絵 群鶏図」に遭遇したとき、鮮明な赤と黒が織りなす世界にハッと息をのむような衝撃を受け、魅了されたことを憶えています。

 

小生の場合、ついつい植物に目がいくのですが、「動植綵絵」に描かれたボタンやナンテン、鶏や小鳥に不思議なリアリティーと躍動感を感じます。

 

植物という視点から愉快な作品に、水墨画「果蔬涅槃図」があります。若冲は京都錦小路の大きな青物問屋「枡源」の長男に生まれ、一時期、家業を継いだだけあって、野菜について情報とこだわりがあったのでしょうか。

 

横たわるダイコンを取り囲むカブやカボチャ、ナス、トウモロコシ等を見ていると、微笑ましく安らぎを覚えます。江戸中期、流通していた京野菜を知ることができるのではと作品を注視していると、「これは何だろう!?」という描写。画の右下の鹿ケ谷カボチャとおぼしき野菜の左脇に、熱帯果樹のランブータンが描かれているのだそうです。

 

「鳥獣花木図屏風」や「仙人掌群鶏図襖絵」、「象と鯨図屏風」といった迫力ある作品、他方、「菜蟲譜」や「糸瓜群虫図」といった生きものへの慈愛を感じさせる作品......。

 

今回の展覧会は、伊藤若冲の初期から晩年に至るまでの代表作約80点が一堂に会します(一部、展示期間が限られる作品があります)。

 

若冲作品にはバラやアジサイ、アサガオ、ヒマワリ、ボタン、シャクヤク等が何気なく描かれているだけに、「この花は何だろう!?」などと考えながら鑑賞していると、時間があっという間に過ぎてしまいそうです。

 

 

「生誕300年記念若冲展」

会場/東京都美術館(東京都台東区)企画展示室

会期/2016年4月22日(金)~5月24日(火)

「生誕300年記念若冲展」展覧会公式サイト

 

 

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《動植綵絵 南天雄鶏図》明和2年(1765年)以前、宮内庁三の丸尚蔵館。初めて作品を目にしたとき、ナンテンの赤、鶏の黒が衝撃的だった

 

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《動植綵絵 群鶏図》明和2年(1765年)以前、宮内庁三の丸尚蔵館。自宅の庭で鶏を放し飼いにし、じっくりと様子を観察した後、描いたという。鶏の生態が感じられる

 

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《動植綵絵 牡丹小禽図》明和2年(1765年)以前、宮内庁三の丸尚蔵館。ディテールまで描かれたボタンと小鳥。華やかな描写に惹きつけられる

 

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《果蔬涅槃図》京都国立博物館【期間限定(5/10~5/24)展示】。横たわるダイコンと取り囲む野菜。右下の鹿ケ谷カボチャとおぼしき野菜の左脇に、熱帯果樹のランブータンが描かれていた

 

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重要文化財《菜蟲譜》寛政4年(1792年)、佐野市立吉澤記念美術館。98種類の野菜や果物、およそ56種類の昆虫などが描かれているという絵巻物。若冲の生きものに向けるやさしい眼差しを感じる

 

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重要文化財《仙人掌群鶏図襖絵》寛政2年(1790年)、大阪・西福寺。鶏の背後のサボテン〈仙人掌〉はウチワサボテンに見える。青く描写されているのは岩なのだろうか?

 

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《鳥獣花木図屏風》エツコ&ジョー・プライスコレクション。西陣の装飾性を反映させたといわれる作品。8代将軍の吉宗の時代、長崎から江戸までゾウが行進しているが、若冲はそれを見たのかもしれない

 

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《花鳥版画 鸚鵡図》明和8年(1771年)、公益財団法人 平木浮世絵財団。オウムの動きがかわらしい

 

 

(元『趣味の園芸』編集長 原田)

 

 

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【園芸LOVE 原田が行く】は、「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』テキスト元編集長の原田による園芸エッセイです。


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