人と人の絆づくりに貢献するコスモス
6か月ほど前、銀座・中央通り5丁目付近のビル再開発現場を通りかかったとき、歩道と工事現場を区切るフェンスに目が留まりました。
歩道側の面にいくつかの「県の花」が描かれていたのです(「銀座の工事現場は粋なものだ」と思いました)。
「県の花」が気になりインターネットで調べてみると、各都道府県の特産の花だったり、歴史的な由来をもつ花だったり、象徴的な植物が比較的多いように感じました。一方、「市の花」あるいは「区の花」とされる花もあり、身近な花が多く選ばれていました。
日本の秋を代表する草花、コスモス。この花も「市の花」、「区の花」としていくつかの自治体で親しまれています。9~10月、澄んだ青空を背景に咲くコスモスは、それだけでさわやかさを感じさせてくれます。
コスモスは短日植物ですが、最近は日照時間に影響されず、6月頃から咲いているコスモスや、種が異なるものの暑さに強く7~8月から咲いているキバナコスモスなどがあり、コスモスも多彩です。(キバナコスモスは日本で橋本昌幸さんによって生み出され、1966年、オ-ル・アメリカン・セレクションズ〈AAS〉のゴールドメダルを受賞しています。)
「秋桜と書くコスモスは春のサクラとともに日本人にはとても人気があります」と語るのは、テキスト『趣味の園芸』9月号で「コスモス」を担当する講師、広島市植物公園の島田有紀子さん。
植物公園がある広島市佐伯区は2014(平成26)年3月、「区の木」にサクラ、「区の花」にコスモスが選ばれ、区民ボランティア団体が街の'美緑花'に取り組んでいます。
「花で来訪者を歓迎するだけでなく、地域の皆さんが花の育成を通じて元気と癒しを感じ、心のふれあいが生まれているように思います。」(島田有紀子さん)
「花で地域おこし」という事例はしばしば目にしますが、島田さんは「人と人の絆づくり」に貢献する園芸の力に改めて注目していました。
○広島市植物公園
○広島市植物公園の園芸日記
https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_mo_diary_list&target_c_member_id=3389
○テキスト『趣味の園芸』9月号の紹介
https://www.shuminoengei.jp/?m=pc&a=page_tn_detail&target_xml_topic_id=engei_000350
(『趣味の園芸』 シニアエディター 原田)
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【園芸LOVE 原田が行く】は、「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』シニアエディター・原田による園芸エッセイです。