8Kスーパーハイビジョン映像が捉えた牧野富太郎のすごさ
8月からNHKで超高精細映像のスーパーハイビジョンの試験放送がスタートしました。
すでにNHKの各放送局等で、リオデジャネイロオリンピックの模様を伝える試験放送を視聴された方もいるかもしれません。
美しさとともにディテールがクリアに再現されるスーパーハイビジョン映像。その魅力を物語る番組の一つとして、8Kスーパーハイビジョン番組「8Kで体験! 牧野植物ふしぎ図鑑」(制作 NHKエンタープライズ・NHK)が制作され、試験放送されています。
1862年、現在の高知県高岡郡佐川町に生まれ、幼少の頃から植物探究の道を歩んだ牧野富太郎。日本の植物学を切り開いた先達として、その名は園芸ファンのみならず誰もが知るところです。
故郷の高知市五台山にある県立牧野植物園には「牧野博士の業績」が遺され、またホームページにアクセスすると「牧野植物図鑑インターネット版」を調べることもできます。
牧野富太郎の名を世界に知らしめた仕事の一つに、水生植物ムジナモの研究があります。
植物を調査する際、研究者は植物標本とともにその植物の特徴を捉えた植物画を描きますが、牧野博士はどれほど精細精密にムジナモの生態を観察していたかを、今回の「8Kで体験! 牧野植物ふしぎ図鑑」は解き明かしていました。
思わずかつ目するのは、牧野博士によるムジナモの生態観察を解説するくだりです。
8Kスーパーハイビジョン映像は、動物プランクトンがムジナモの葉の繊細な毛に触れると葉を閉じて捉える様子を見事に映し出していました。一方、牧野博士の植物画にも、ムジナモの生態を物語る詳細なスケッチが描かれていたのです。
植物の超微細な姿まで観察して生き生きと描いていた牧野富太郎。その牧野富太郎の観察眼のすごさを浮かび上がらせた、およそ3,300万画素の超高精細映像。そのリアリティの見事さは思わず息をのんで見入ってしまうほどです。
「8Kで体験! 牧野植物ふしぎ図鑑」ほかスーパーハイビジョン番組の試験放送は、全国各地のNHK放送局、NHKふれあいホール、NHK放送博物館、NHK技術研究所で視聴できます。
〇高知県立牧野植物園
http://www.makino.or.jp/index.html
〇NHKスーパーハイビジョン試験放送
(『趣味の園芸』 シニアエディター 原田)
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【園芸LOVE 原田が行く】は、「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』シニアエディター・原田による園芸エッセイです。