花の女王ダリアは夏の花? それとも秋の花?
華やかに咲いたダリアを一輪二輪、摘みとってきて、リビングや玄関などに飾る――。
花を育てる喜びと手もとで愛でる楽しみが享受できる、植物生活の贅沢なひとコマではないかといつも思います。
花の女王と呼ばれるダリア。よく枝分かれして花が次々と咲くうえに、花のバリエーションも豊富です。日本でも広く親しまれていますが、世界でもガーデンを彩る園芸植物として人気があります。
(余談ながら、オランダのズンデルトという町では9月初旬にダリアが主役の祭典、コルソズンデルトが開催され、世界中から見物客が押し寄せるそうです。)
そのダリアの栽培について、『NHK趣味の園芸 よくわかる栽培12か月 ダリア』の著者、日本ダリア会の山口まりさんは、温暖化によって栽培カレンダーや花どきに影響が出てきていると語っていました。
「ダリアは芋(塊根)を植えるタイミングで春植えと夏植えがあり、初夏から花を楽しめる春植えが一般的でした。ところが近年の夏の酷暑や暖冬化の影響などもあり、初夏の花つきが悪くなってしまいました。一方、降霜が遅くなったことから、色鮮やかな秋のダリアを長く楽しめるようになりました。ダリアの故郷を考えると、涼しい秋のほうがダリアの魅力がより発揮されるようになっているかもしれません。」
山口さんによればダリアの故郷はメキシコ中央部、標高1,500~4,300メートルの高原。コスモスやビデンス、サルビアなどといっしょに咲いているのだそうです。
小輪の一重咲きから巨大輪の八重咲きといったタイプがそろい、そのうえ花色もきわめて多彩な園芸植物のダリア。
ただ、猛暑が苦手で水切れを嫌うダリア本来の性質を考えるとき、最近の日本の夏はちょっと辛すぎる環境になってしまったのかもしれません。
(日本ダリア会による「第6回 ダリアの華展」が10月7日(金)~9日(日)、池袋サンシャインシティで開催されます。)
取材協力:日本ダリア会
●オランダのズンデルトで毎年開催されるダリアが主役の祭典、コルソズンデルトの様子
(『趣味の園芸』 シニアエディター 原田)
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【園芸LOVE 原田が行く】は、「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』シニアエディター・原田による園芸エッセイです。