バラと人間の200年~スーパーハイビジョン番組「バラのささやき~創られた美の物語」
「花に人のドラマあり」――園芸植物には人間の様々な思いが込められています。
10月15日(土)、諸兄諸姉もご覧になったかもしれませんが、NHK-BSプレミアムで放送された「趣味の園芸」放送50年特集番組「バラのささやき~創られた美の物語」は、人間と植物が織り成すドラマの面白さを改めて味わわせてくれました。
本欄でもこれまで、「"バラのパトロン"ジョゼフィーヌの貢献」(2016年5月9日)、「バラ『3-35-40』を守れ!~名花'ピース'の第2次世界大戦」(2015年7月13日)、「バラの世界を数字から考えてみる~99.98%に支えられた新花」(2015年4月27日)等を取り上げてきましたが、美しいハイビジョン映像とともに映し出されるバラ一つひとつのドキュメンタリーは、時間を忘れさせる内容でした。
番組のなかでバラ開発の最前線で奮闘する育種家、武内俊介さんのシーンは、見ていて胸にせまるものがありました。
細かくて根気がいる、そして膨大な時間を要する交配や選抜作業を重ねても、目指す花でなければ試作番号の段階で焼却されてしまうバラ。
「お葬式みたいですね」とつぶやき、じっと炎を見つめ続ける武内さんの表情に、どこまでもバラ探求の手を休めることができない園芸の厳しさを垣間見た思いがしました。
世界中で愛され、この200年で3万品種に増えたというバラ。そして今も新たな花が次々と作出されるバラ。
ちょうど今、秋バラが見ごろを迎えましたが、美しい花の背後にあるバラと人間の長い歴史をかみしめながら、じっくりと観賞してみたいと思う今日この頃です。
スーパーハイビジョン番組「バラのささやき~創られた美の物語」は10月31日(月)~11月6日(日)の14時から15時、全国各地のNHK放送局、NHKふれあいホール、NHK放送博物館、NHK技術研究所で試験放送番組を視聴することできます。
(『趣味の園芸』 シニアエディター 原田)
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【園芸LOVE 原田が行く】は、「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』シニアエディター・原田による園芸エッセイです。