植物が社内コミュニケーションを活性化する!!~グリーンアメニティのすすめ
10月18日に開催された「Flower Biz フラワービズ国際シンポジウム」で、「オフィス空間において植物が人間にどのような効果をもたらすのか」、愛媛大学農学部の仁科弘重教授による興味深い講演がありました。
グリーンアメニティとは植物を利用して人間の快適性を向上させることで、園芸学や生物環境調節学、感性工学、建築学、心理学などの学際的な研究だそうです。
注目は、東京・品川にある文具メーカーのオフィスで被験者約70人を対象に9週間行った実験「観葉植物がオフィスワーカーの心理に及ぼす効果の解析」。
アンケート(SD法)による心理評定と、植物の効果に関するアンケートによる評定が行われ、分析されました。
彼の講演と論文「グリーンアメニティの心理的効果に関する最近の研究」をもとに一部、紹介すると――。
実験は、オフィス空間に「配置する観葉植物の量・場所の違い」を測定する実験と、「観葉植物を選択すること、世話をすることの違い」を測定する実験でした。
二つの実験から、オフィスワーカーにとって植物との距離が近いほうが効果的であること、主体的に植物を選んだり世話をしたりすると満足度が上がりストレス緩和につながることが導かれていました。
ここで最も面白かったのは9週目に行われた被験者へのアンケートで、「植物がきっかけとなり社員同士の会話が増えた」というもの。観葉植物が社内コミュニケーションの触媒の役割を果たしていたという指摘でした。
さて、最近、企業のなかで社内運動会や社員旅行が復活したり、飲みニケーションが見直されたりしています。フェイス・トゥ・フェイスの会話が減ったことから、社内コミュニケーションの促進が企業の関心事になってきているのでしょうか。
社内コミュニケーション促進のために植物をオフィス空間に導入する――コストやスペースの問題もありますが、いよいよオフィスグリーンの出番が回ってきたようです。
〇愛媛大学農学部により設立されている、Web上の仮想学科
HP内では、緑と人の関係をさぐる興味深い研究がたくさん紹介されています。
また、家具や植物を配置しながら、観葉植物の快適効果を、パソコンで簡単にシミュレーションできるシステムも公開されています。
(『趣味の園芸』 シニアエディター 原田)
--------------------------------------------------------------
【園芸LOVE 原田が行く】は、「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』シニアエディター・原田による園芸エッセイです。