意外な情報がたくさん! 大森直樹さんに果樹について聞いてみた!〈前編〉『趣味の園芸』11月号こぼれ話
ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」だけで読める連載「テキストこぼれ話」の第5回。『趣味の園芸』テキストの特集に関連して、おもしろそうなことや役立ちそうなことなどを載せていきます。
今回は、『趣味の園芸』11月号「果樹特集」で、ブドウやイチジクの魅力・育て方を教えてくださった大森直樹さんに、これからの注目果樹や家庭栽培の魅力について伺います。
編集部(以下、編): 11月号の誌面ではブドウやイチジクの魅力を存分に紹介していただきました。ブドウ畑で伺うのもなんですが、ほかにこれからおすすめの果樹がありましたら教えてください。
大森直樹(以下、大): ずばり、ライチですね。
編: ライチ? あの、楊貴妃も好んで食したという、あれですか? 熱帯果樹だから温室も必要で面倒なのではないでしょうか。
大:最近思うのですが、日本は温帯でなくて亜熱帯になってしまっているんじゃないでしょうか。私の住む岡山でも以前はレモンを育てられませんでしたが、今はOKになってきた。栽培適地の感覚も変えていかなければいけない、と思うのです。
編:なるほど。とはいえ関東でも冬は冷え込みます。やはり温室が必要では?
大:ライチは最低温度が1~2℃であれば育ちます。もちろん冬の夜温がこれ以下の場合は、室内で育てる必要がありますが、最近の気密性の高い家なら、温室は不要です。思っていたより寒さに耐えるでしょ?
編:はい。けっこう低温でも大丈夫なのですね。
大:そうです。そしてむしろ、低温が必要なんです。
編:えっ?
大:ライチは年中暖かい場所では咲かないのです。開花に「低温要求」があるためで、ずっと温室に入れて20℃くらいの状態に置いておくと咲きません。ですので冬も、1~2℃以上あれば日中は戸外に出してしっかりと寒さに当ててやる必要があります。
編:おすすめの品種はありますか?
大:'クェイメイピンク'ですね。世界中で最も栽培されているライチで、収量が安定していて美味しい。香りもよいです。
編:それはよさそうですね。苗は入手しやすいのでしょうか。
大:大きめの園芸店やホームセンターであれば取り扱いがあるはずです。ただ、単純に「ライチ苗」とだけ記載された苗は要注意です。先ほど申しましたように、基本的には開花するのに低温が必要なので、奄美諸島以南では、例えば'チャカパット'など栽培が難しい品種があります。'クェイメイピンク'はその点、南国でも育てやすいです。
編:家庭栽培ではどれほど収穫できるのでしょうか。
大:10号鉢なら、40g程度の果実が20コくらい収穫できますよ。春に開花して、8月初頭には収穫できます。10号鉢でも120~130㎝くらいにコンパクトに仕立てることも可能なので、室内に入れることも容易です。
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