奥深いランの世界。富山昌克さんにランについて聞いてみた!〈前編〉『趣味の園芸』12月号こぼれ話
ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」だけで読める連載「テキストこぼれ話」の第6回。『趣味の園芸』テキストの特集に関連して、おもしろそうなことや役立ちそうなことなどを載せていきます。
今回は、『趣味の園芸』12月号で「図鑑で知るランの世界」「定番のランのコツをつかむ ①コチョウランは温度で育てる」の講師を務めた富山昌克さんに、ランと普段の仕事の様子についてあれこれ伺いました。
編集部(以下、編):今回、ランの特集を担当して、改めてランって個性的な種がたくさんあるんだなと思いました。
富山昌克(以下、富):ランの原種は、今3万種あるって言われています。キク科、マメ科、イネ科と並んで、もっともよく増えた種の1つです。種(しゅ)の爆発が起こってるんですね。
編:種の爆発ってなんですか?
富:まだ種のなかで絞り込みが行われていないってことです。ランは亜種や変種が多く、それが魅力なんですけど、これからラン科のなかで種の淘汰が始まると思います。
編:そうなんですか。特徴的な種が多い方が、我々にとっては楽しいのに残念ですね。
富:そういう考え方は問題だとする意見もあります。本来ならとっくに淘汰されているはずの種も人間が保護して、ある意味進化を邪魔してるわけです。
編:なるほどー。淘汰された結果、最終的にはどんなランが残るんですか?
富:論文によると、『青いランだけが残る』といわれています。
編:青いラン!! それはどうしてですか?
富:地球は誰のものか知ってますか?
編:えええっ! 突然ですね。地球は誰のもの? 誰だろう......。この流れでいうと植物ですか?
富:【富山さんは興奮すると関西弁になります】ちゃうねん(違います)。地球は昆虫の惑星やねん。植物なんかよりも圧倒的に数が多いやろ。ランは虫媒花なんやけど、青は昆虫の目にはいちばん美しく見える色っていわれてんねん。だから虫媒花として優秀な青いランが最後には生存競争に勝つんとちゃうかな。
テリミトラ・クリニタ。生存競争に勝つのは例えばこんなラン。
編:富山さんも青い花が好きなんですか?
富:好きですけど、ボクが一番好きなのは、ソフロニティス・コクシネアかな。鮮やかな朱赤色が一番に目に飛び込んでくるので。
ソフロニティス・コクシネア
編:めっちゃ真っ赤(笑)。この色は昆虫には赤く見えてないんですね。不思議だなー。
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