奥深いランの世界。富山昌克さんにランについて聞いてみた!〈後編〉『趣味の園芸』12月号こぼれ話
前編では、ランの魅力の秘密や、今後の進化の仕方について伺いました。後編では引き続き富山さんの仕事内容について伺います。ランの生産が中心かと思いきや......。
編集部(以下、編):富山さんは普段どんな仕事をしてるんですか? やっぱりランの生産がメインなんでしょうか。
富山昌克(以下、富):ランの生産もしてるけど、学校の先生と物書きが中心です。先生の仕事は4校で29年間も続けています。
編:4校で!しかも29年間!! 全く知りませんでした......。
富:専門学校2校と大学校1校、あと市民が自主的に運営している熟年大学っていうのが大阪狭山市にあるんですけど、それを併せて合計4校です。4校で25年教えたら100年先生していたことになるから、それを目標にやってたんですけど、来年で30年やから......。もう余生やな(笑)。 先生してたら、専門書や論文を読めるでしょ。仕事で本が読めるって、めっちゃ幸せなことやん。
編:何を教えてらっしゃるんですか。
富:色々やなー。園芸学を教えたり、植物生理学を教えたり、専門的な英語を教えたり、もちろんバイオテクノロジーを教えたり。今はバイオで増やせる植物もたくさんあるから。コチョウランみたいに贈答用のニーズがあるランは、バイオで増やすのが有意義やと思うよ。
贈答用のコチョウラン。贈答用のコチョウランには、バイオの技術を使ってフラスコのなかで培養され、育てられたものがすべて。
編:そもそもなんで先生をやろうと思ったんですか。
富:優秀な弟子が欲しいと思ったのが最初かな。今、北海道から沖縄まで2万人の教え子がおるけど、そのうち50人ぐらいはホンマに優秀です。
編:優秀な弟子ですか......。
富:ボクが知ってること全部教えたから、ほぼ同じレベルか、それ以上の人もいる。同じレベルの知識の人と話すと、脳が活性化される気がしませんか? ホンマに最高のパートナーです。
編:確かに。話すときも変なこと言えないから、油断できないですね。
富:そうやねん。弟子にビビらされたいねん。未来に希望が持てるから(笑)。
編:これからの目標があれば聞きたいですけれど。
富:そうやなー。園芸療法をやりたいな。歩くだけで、気持ちが軽くなる、体調がよくなるような庭をつくりたい。 娘が医学の道へ進んでくれたので、いつか協力しあって、そんなお年寄りが元気になる庭を創れたら、ほんまに幸せな人生やと思えるよ。
編:これからのご活躍も楽しみにしています!
次回は、1月号「クリスマスローズ」特集に関連して、12月下旬に更新予定です。お楽しみに!
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『趣味の園芸』テキストの特集に関連して、担当編集者による講師へのインタビューなどをウェブ限定で公開します。(毎月2回更新予定)