「平成29年度全国花き品評会洋らん部門」に見る最近洋ラン事情
先月11月19日、花の卸売市場、フラワーオークションジャパン(FAJ)で、「平成29年度全国花き品評会洋らん部門」の審査が行われました。
シンビジウムやデンドロビウム、カトレアやコチョウランなどといった、家庭園芸でもギフトとしても喜ばれるおなじみの洋ラン。当日の審査会場には全国の生産者から届いた多彩な洋ランが並び、ファレノプシス(コチョウラン)の出品が目を引きました。
審査のポイントは商品性、花と株のバランス、開花の具合など。一次審査、二次審査が行われ、採点結果から入選が決まりました。
注目の第1位、農林水産大臣賞はファレノプシス・ソーゴユキディアン'V3'。群馬県・富澤洋蘭園の富澤英夫さんが出品した、白花大輪で花茎3本立ちの見事なファレノプシスでした。
「趣味の園芸」でおなじみ、園芸研究家の長岡求さんは、「美しく大きな白花がたくさん咲き、しかも花数が多いにもかかわらず、端正に整然と花が並んでいるところが素晴らしい」と、受賞花の注目点を指摘してくれました。
NHK出版「趣味の園芸」編集長賞は、切り花部門のエントリー、茨城県・山野井喜仁さんのカトレア・チアリン'ニューシティー'(BLC ブラッソレリアカトレア)が受賞。ボリューム感あふれる濃い赤紫色の大きな花が印象的でした。
今回の品評会で目立った点に、高低差をつけたカトレアの寄せ鉢や洋ランを引き立てる鉢の使用といった、生産者が商品性を高めるためにいろいろな工夫を重ねていることでした。
一方、残念だったのは、今年夏から秋にかけての天候不順の影響からか、シンビジウムが目立たなかったこと。またデンドロビウムは、近年の温暖化の影響、そして5月「母の日」用に商品シフトしつつあるという背景から出品がなかったことでした。
東南アジアをはじめとする海外との競争にどう対抗していくか、懸命に模索している生産者の姿が垣間見られる品評会でした。
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【不定期連載】 園芸LOVE 原田が行く
「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』シニアエディター・原田による園芸エッセイです。
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