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あなたの知らない育種の世界!?松村みよ子さんにクリスマスローズについて聞いてみた!〈後編〉『趣味の園芸』1月号こぼれ話

松村みよ子さんがクリスマスローズ育種の世界を紹介。右は乙女咲きのニゲル
松村みよ子さんがクリスマスローズ育種の世界を紹介。右は乙女咲きのニゲル

前編では、クリスマスローズの新品種づくりの舞台裏を伺いました。後編では引き続き、クリスマスローズの育種家・松村みよ子さんが、育種の楽しさについて語りつくしてくれます。

 

松村みよ子 Profile

1980年東京生まれ。クリスマスローズの育種で有名な松村園芸の三女として生まれる。一般企業で営業職として働いたあと、就農しクリスマスローズの世界へ。育種を始めて10年、独特の色合いが美しいカラーリーフのシリーズを発表。

 

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クリスマスローズの育種を始めた理由は、うーん、なぜでしょうね。

 

登山家の方が「そこに山があったから」というのと同じかもしれません。そこにクリスマスローズがあったから、です。父がクリスマスローズの育種を始めたのは1970年代後半。父と母がピンセットを持ち歩いて花と花をつけている(受粉させている)のを、子どもながらに見ていました。

 

それがクリスマスローズの交配だったと認識したのは、23歳のときです。「関東東海花の展覧会」で、私の父が農林水産大臣賞をとったんです。それでやっと、すごいことをしているんだなというのを知って(笑)。仕事をやめて、手伝うようになりました。

 

昔からクリスマスローズに興味があったわけではないんです。園芸とは関係のない短大を卒業して、いったんは会社員になりました。そこでは営業の仕事をしたのですが、頑張ったら頑張っただけ評価されるので、非常にやりがいを感じました。自営業もそれは同じなので「いいじゃん!」と思っています。

 

最初は、父と母の補佐でした。ピコティ(覆輪)の交配をしてくれって頼まれたら、ひたすらピコティの交配をしました。袋をかけて、タネをとって。タネがたくさんとれるとよかったなと思ったし、それが順調に発芽すると面白いなと思いました。

そのうちに、園芸店さんのほうから、もっとこういう色がほしいとか、これをふやしてくれとかいったような要望があるので、「じゃあ私にやらせてちょうだい」と言って親株の管理をし、それをふやしていきました。

 

それからは驚きの連続。「これとこれから、こんなものが!」と日々ワクワクしています。くじ引きのような感覚かもしれません。

 

面白さがさらに増したのは、交配を始めて10年くらい経った頃、カラーリーフのクリスマスローズが形になってきてからです。パっと見で他の人とは違うものが、やっとできたなあと。

何代か交配を繰り返した後、やっと狙い通りのものが出てきたときには、嬉しさがあふれてきました。

 

「クリスマスローズ、やめちゃおうかな」と思ったことは何度もありました。

父がすごく厳しい人なので。今でも褒められることはないですけど、最初の頃は本当に毎日毎日ダメ出しされて。交配したら、タネのついた花を切られちゃったということもありました。それでちょっとやめたいなとは思いましたね・・・。やっぱり身内なので、厳しくなるのは当然かもしれませんが。

でもそれだけに、クリスマスローズのカラーリーフを「きれいだね」ってみなさんから言ってもらえるのは励みになります。

 

育種が進んでいる系統は、進んでいない系統に比べて、明らかに株姿がこんもりとして美しいです。そういうものを見たときも、何回も選抜を繰り返した甲斐があったなあ、苦労が報われたなあと感じますね。

 

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今年一番のお気に入り、明るい桃色のカラーリーフ

 

これが今年一番のお気に入りです。まず、ステルニーのゴールドタイプに黄色いリヴィダスを掛け合わせたら、1代目は全部、緑色になっちゃいました。

次は、黄色っぽく花色も明るいものを残して交配しました。そうしたらそのなかから、桃のような、こんなにきれいな葉っぱが出てきました。しかも、きちんとボリュームもあります。

 

今までのカラーリーフは、ピンクとはいっても花色がくすんだものが多かったのですが、これはオーレア(黄色系)が入っているので明るいです。

こういうものができると「よし!」「きた!」という気持ちです。

 

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乙女咲きのニゲル(撮影:松村みよ子)

 

これは、今後面白いことになるかも?という花で、乙女咲きのニゲルです。

雄しべが退化し、雌しべが密集しているものを乙女咲きと言っています。乙女咲きのニゲルは、見たことがないような形になりつつあるんです。雌しべがやけに多いな、という株がいくつかあって、遺伝するわけがないだろうと思いつつも交配していたら、こんなふうになってきて、「わあすごい!」と思って。これが大株になったら、面白そうでしょう。充実するとこんなになっちゃいます。ニゲルじゃない、全然違う花みたいでしょう。

 

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色がついた蜜腺が出始めた(撮影:松村みよ子)

 

もう一つ、地道な努力を続けているものがこれ。蜜腺に色がついたものが出始めたので、これを濃くしようとがんばっています。カラーリーフは今、シングル咲きの花だけで、なかなかダブルへの道は遠いのですが、蜜腺に色がつけばちょっとセミダブルみたいに見えるかなと思って。

 

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変わった葉っぱと花(撮影:松村みよ子)

 

あとはこれです。クリスマスローズの花弁って、ふつうは5枚なんですが、なぜか6枚あるものばかり咲いたので、タネをとってふやしたら葉っぱがこんなふうになって。しかも、花がなんだか変な咲き方で、不思議でしょう。

違うところに着目してタネをとったのに、別のいいところが出てラッキー! ということもあります。

 

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ほのかに香るリヴィダス(撮影:松村みよ子)

 

最後に、リヴィダスで、少し香りのあるものが出てきたんです。3年前くらいでしょうか、今まで無香だと思っていたリヴィダスが、ほのかに香っていることに気がついて。今、なるべく香りのあるものを残すようにしています。香るクリスマスローズが出来たら素敵でしょう。

 

クリスマスローズの世界は、これからもどんどん面白くなっていきます。 みなさんのお手元に届けられるのはもう少し先かもしれませんが、楽しみにしていてくださいね。

 

<前編はこちら>

 

次回は、2月号「冬の多肉植物、サボテン」特集に関連して、1月下旬に更新予定です。お楽しみに!

 

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