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ギリシャで乾燥に耐えて生きる植物の生態は?久山敦さんに山野草について聞いてみた!<後編>趣味の園芸3月号こぼれ話

ギリシャで乾燥に耐えて生きる植物の生態は?久山敦さんに山野草について聞いてみた!<後編>趣味の園芸3月号こぼれ話

前編では、ギリシャのクレタ島に自生する植物の話しをうかがいました。後編では自生地で見られる原種と日本で流通する原種の違いについて聞きました。

 

編集部(以下、編):さきほどのお話の中で、ツリパ・サクサティリスの変種が'ライラックワンダー'の品種名で流通しているとおっしゃっていたのですが、変種が品種として売られていることがあるのでしょうか。

 

久山敦(以下、久): はい。本来、原種は自然に見られる野生種を指すものです。それは間違いないのですが、その原種の選別個体に園芸品種名をつけて流通しているケースがあるんです。

 

:どういうことでしょう。

 

:自生地の原種の中にも花の大小や、色変わりなどの変異や自然交雑種が見られます。その変異した株や自然交雑種を増やして、園芸品種名をつけて流通させているということです。

 

:そうなんですか。品種名がついているからといって、育種されたものとは限らないんですね。

 

:はい。品種名がついているというだけでは、それが自然にあるものか人工交配されたものかわからない場合があります。

 

:知りませんでした。品種名がついているものは、育種されたものだと思っていました。

 

:一方、同じように自生地での突然変異や地域変異などで生まれた個体を選別して、原種の名前で流通させているケースがあります。そのような個体は自生地で見られる標準的な個体とは違うので、自生地を探しても見当たらないなんてことがあるのです。

 

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自生地にある通常のコマクサ

 

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コマクサの選別された個体。自然のコマクサよりも花が赤みを帯びている

 

:ややこしいですね。品種名をつけて流通させるか、原種の名前で流通させるかは、生産者次第ということですか。

 

:そうなんです。また、植物の世界でも希少なものは高値で流通します。そのため標準的な個体よりも、選別された個体の方が流通しやすいのです。シコクカッコソウの白花が、そのよい例でしょうか。

 

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シコクカッコソウの白花

 

:今、自分が標準的な原種だと思っているものも、じつは自生地にある原種とは違う選抜されたものだったなんてこともあるかもしれませんね。

 

:はい。意外と標準的な原種の方が入手しにくいケースもあるぐらいですからね。まずは、その植物の標準的な姿を知ることが何よりも大切なんですよ。

 

<終わり>

次回は、4月号「春、花が美しい」特集に関連して、3月下旬に更新予定です。お楽しみに!

 

★久山 敦(くやま・あつし)

園芸研究家/1947年、兵庫県生まれ。学生時代より植物に親しみ、英国王立キュー植物園に留学。兵庫県立淡路ファームパークの大温室やロックガーデンなどの設計を手がけたのち、2007年より大阪市の植物園「咲くやこの花館」の館長を務める。『四季の山野草栽培』(NHK出版)など著書多数。

 

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