2018 F&Gジャパンセレクション~人気投票結果から思い出すこと
去る4月20日からの3日間、「第28回 2018日本フラワー&ガーデンショウ」が横浜みなとみらい地区のパシフィコ横浜で開催されました。
このイベントの呼び物としていつも注目されるのが、「2018 F&Gジャパンセレクション」。今年も新しい鉢花や切り花が展示され、恒例の来場者人気投票が行われました。
今回、投票対象となった出品は28者82点。どれも流通間もないものか、これから流通する新品種で、会期の初日と2日目、来場者の評価が投じられました(投票総数12,837票)。
◆2018 F&Gジャパンセレクション人気投票結果
【グランプリ】ダリア'インカローズ'
切花部門1位のダリア'インカローズ'が全出品のなかで最多得票を獲得し、グランプリに輝きました。
【鉢物部門】
1位 センテッドゼラニウム'チェリー茅ヶ崎'(サカタのタネ)
2位 アジサイ'フェアリーラブ'(さかもと園芸)
3位 アジサイ'ベィビークミコ'(さかもと園芸)
【切り花部門】
1位 ダリア'インカローズ'(ミヨシ)
2位 バラ'カレン'(やぎばら園)
3位 バラ'ブライダルメイプルローズ'(たなまち園芸場)
※「2018 F&Gジャパンセレクション」は、ジャパンフラワーセレクション(ジャパンフラワーセレクション実行協議会主催)と「新花コンテスト」(公益社団法人 園芸文化協会主催)の合同開催として行われました。
投票結果が出たとき、小生の個人的な捉え方で恐縮ですが、つい注目してしまったのが鉢物部門2位と3位のアジサイです。
2位'フェアリーラブ'は、2006年ジャパンフラワーセレクションの最優秀賞であるフラワー・オブ・ザ・イヤーに輝いた人気花'フェアリーアイ'の後継改良種。そして3位'ベィビークミコ'は、1992年のフロリアードで最高金賞を受賞した'ミセスクミコ'の改良種でした(フロリアードは園芸の国オランダで10年ごとに開催される、世界最大規模の園芸博覧会です)。
アジサイ園芸をけん引してきた優良花の'フェアリーアイ'と'ミセスクミコ'は、ともに名人といわれる園芸家、坂本正次さんの仕事です。そして父親の正次さんの仕事を受け継ぎ、坂本佳子さんが世に送り出した新しい花が、'フェアリーラブ'と'ベィビークミコ'だったのです。
「人気投票で2位と3位に選ばれ、驚きました。'フェアリーラブ'は花色を濃くしてシャープな雰囲気を出すことで、若い園芸ファンへの訴求を意識しています。一方、'ベィビークミコ'は花色を淡く優しくすることで、シニア層への浸透を意識しました。」(坂本佳子さん)
さて、『趣味の園芸』6月号の「進化してます! 楽しいアジサイ」講師の長岡求さんは、以前、ジャパンフラワーセレクションで「日本のアジサイ育種・生産レベルの高さ」を指摘していました。
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アジサイの季節、国内外で高く評価される数々のアジサイを思い起こすとき、受け継がれ発展していく日本のアジサイ園芸の底力を感じる今日この頃です。
(写真提供:公益社団法人 日本家庭園芸普及協会)
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【不定期連載】 園芸LOVE 原田が行く
「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』シニアエディター・原田による園芸エッセイです。