幻の朝顔'団十郎'ってどんなアサガオ!?
みなさん、アサガオは順調に育っていますか。「みんなの趣味の園芸」の「朝顔チャレンジ」コーナーには、朝早くから観察したアサガオ園芸の画像が日々、寄せられています。
アサガオといえば、夏到来を感じるのが入谷鬼子母神周辺で開催される朝顔市。言問通りに多彩なアサガオが並びます。江戸の歌舞伎役者、市川団十郎に由来するといわれるアサガオ'団十郎'も人気種の一つで、かつては東京・江戸川区界隈でたくさん生産されていました。
このアサガオ'団十郎'について、『園芸植物大事典』(小学館)には「黄蝉葉種(きせみばしゅ)、栗皮茶(くりかわちゃ)無地筒白(むじつつしろ)」という特徴が記載されています。「栗皮色」とは......!?
東京・江戸川区で古くからアサガオ生産に携わる朝顔組合事務局の川野嘉一さんは、「栗皮色」について次のように教えてくれました。
「文字通り、栗の外側の硬い皮の色です。ちょっとイメージしにくいところもあり、'団十郎'というとえび茶色の花と多く表現されます。栗の皮のような赤茶色、えび茶色というのが本来の花色のようです」(川野嘉一さん)
さらに川野さんは、「'団十郎'は夜間の温度が25℃を超える熱帯夜が続くとタネがつきにくく、タネの確保が難しいのです」と、アサガオ'団十郎'栽培の大変さを教えてくれました。
(公財)東京都農林水産振興財団 東京都農林総合研究センター「農総研だより」によると、一時は生産量が激減し、"幻の朝顔"とも呼ばれるほどまでになったそうです。その'団十郎'を復活させて受け継ぐべく、江戸川分場では3年の歳月をかけて'団十郎'タネの増産に努めたことがレポートされていました。
さて、今年も7月6日から3日間、入谷朝顔まつり(朝顔市)がやって来ます。川野さんによれば今年は例年よりもアサガオの花つきがよいとのことです。
2017年7月号『趣味の園芸』でも紹介しましたが、日没から数えて約9時間後に開花するアサガオ。今の日没19時から数えると、早朝4時頃から開花のタイミングとなります。
さわやかな朝、早起きをして楽しみたいアサガオ。
'団十郎'を入手したらタネを採り、貴重な'団十郎'栽培を続けてみてはいかがでしょうか。
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【不定期連載】 園芸LOVE 原田が行く
「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』シニアエディター・原田による園芸エッセイです。