多肉植物の人気は日本だけじゃない?!長田研さんに多肉植物・サボテンについて聞いてみた!<前編>趣味の園芸8月号こぼれ話
ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」だけで読める連載「テキストこぼれ話」も連載14回目。『趣味の園芸』テキストの特集に登場した、講師の方にインタビューします。専門家の方だけが知っているおもしろい情報が満載です。
今回は、『趣味の園芸』8月号で「人気の多肉・サボテンQ&A30連発」の講師を務めた長田研さんに、世界の多肉植物事情を伺います。
編集部(以下、編):こぼれ話に登場いただくのは2回目ですね。前回(第3回)のこぼれ話は特にアクセス数が多く大好評でした。 多肉植物の人気がうかがえます。
長田研(以下、長):本当ですか? それはよかったです。
編:今回は多肉植物の生産者として世界を飛び回っている長田さんに、世界の多肉植物事情を伺えればと思っています。
長:飛び回っているかどうかはわかりませんけれど、年に数回は海外に買い付けにいきますね。
編:具体的にはどこに行かれるんですか?
長:ヨーロッパにアメリカ、タイやフィリピン、韓国が多いですかね。
編:まさに飛び回っていると言ってもよいと思います。どうしてそんなに各国行くんでしょうか。
長:国によって気候も違いますし、生産しているものが違いますから。ヨーロッパは全般ありますが、アメリカはサボテンやアガベ、タイはサボテンとアデニウムなどの夏型コーデックス、韓国はエケベリアが多いです。
編:得意なものが違うんですね。
長:多肉植物の人気は日本だけじゃなく、世界規模です。その理由は誰にもわかりませんけれど(笑)。
編:国によって流行の仕方に違いはあるのでしょうか。
長:ありますね。例えばタイではサボテンが人気ですし、韓国ではエケベリアが人気です。中国ではハオルチアが人気でしたが、組織培養で株が大量にふやされるかもしれないという認識が広がって、人気も落ち着き始めています。欧米ではなぜかメセン類の人気がありません。
編:おもしろいですね!
長:ほかにも、例えばヨーロッパは日本とは違って比較的年齢が高い層に人気があります。日本のようにマニアがコレクションするような楽しみ方でなく、もっとカジュアルに楽しんでいますね。人気があるのも値段が安い種類です。
編:若年層に人気がある日本とは対照的ですね。園芸といえばオランダというイメージがあるんですが、オランダでも多肉植物は生産されているんですか?
長:もちろんです。オランダは多肉植物でもダントツです。均一に大量生産する技術は我々には真似できませんね。環境的にはサボテンはアメリカが合っているはずなのに、アメリカ人も、オランダ人はなぜあんなに上手につくれるのかわからないと言っていますから(笑)。
編:アメリカでも多肉植物が高まってるんですね。
長:はい。以前は私がアメリカで購入する量ももっと多かったのですが、最近はアメリカ国内で消費される量が多くなり、こちらには回ってこなくなっている気がします。
長田研(おさだ・けん)
園芸研究家/静岡県のナーセリーで、サボテンや多肉植物などの生産、輸出入を手がける。海外の多肉植物事情にも詳しく、年1回は北・南米などへ足を運ぶ。
『趣味の園芸』テキストの特集に関連して、担当編集者による講師へのインタビューなどをウェブ限定で公開します。(毎月2回更新予定)