多肉植物の人気は日本だけじゃない?!長田研さんに多肉植物・サボテンについて聞いてみた!<後編>趣味の園芸8月号こぼれ話
ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」だけで読める連載「テキストこぼれ話」。今回は『趣味の園芸』8月号の多肉植物・サボテン特集に関連して、講師を務めた長田研さんにインタビュー。
前編では、世界各国の多肉植物事情について伺いました。後編ではそんな世界のなかでの日本の特徴について伺います。
編集部(以下、編):そんな世界と比較して日本はどんな特徴があるのでしょうか。
長田研(以下、長):これまで日本はハオルチアの育種が一番進んでいたんです。世界中から愛好家の方が買いにきていました。
編:今は違って来ているのでしょうか。
長:はい。ハオルチアの人気が高まるにつれて、アジア諸国でも育種がふえ、各国で競い合う形になったんです。今ではそれぞれの国でセンスのよい育種家さんが出てきているようです。
編:そうなんですかー。
長:あと、日本ではコーデックスが妙に人気ですね。海外では、それほどでもありません。
編:どうして日本だけ、人気が高いんでしょう。
長:いろんな理由があると思いますが、1つは、さまざまなメディアが積極的にコーデックスという括りで紹介してきたことが大きいと思っています(笑)。
編:あらら、マジですか。確かに『趣味の園芸』でも、コーデックスという銘打った企画は、何度もやっています(笑)
長:あと、これは日本だけじゃなく、アジアの国全般にいえることですが、小さい種に価値を見出しているといえると思います。欧米では大きいものが人気です。高さ何mのサボテンとか。
編:なるほどー。居住空間の違いも影響してそうですね。
長:また、日本では、これまで園芸に興味がなかった人にまで、多肉植物の人気が広がっていることも、忘れてはいけませんね。
編:それは、本当に感じますね。読者からのアンケートでも、ほかの植物は興味ないけど、多肉植物だけは大好きという方がいらっしゃいます。
長:有り難いですね。本当に。
編:これから世界の多肉植物業界はどうなっていくのでしょうか。
長:多肉植物業界は狭いようで、やっぱり狭く(笑)、世界の同業者とよくコミュニケーションをとっています。それぞれ得意分野が違ったりするので、ものや知識をやり取りしていけるといいなと思います。
編:なるほど。これからも多肉植物業界は発展していきそうですね! 最後に今、力を入れている多肉植物があれば教えてください。
長:前回と同じになってしまいますが、パキポディウムですね。2~3年前にタネから準備したものが、これから流通していく予定です。流通量がふえるので、少しは入手しやすくなると思います。
編:いよいよですね! 今日は貴重なお話ありがとうございました!
温室内にあったパキポディウム。タネが入ったさやにストローをかぶせて採種している様子。
さやに詰まったパキポディウムのタネ。
<終わり>
長田研(おさだ・けん)
園芸研究家/静岡県のナーセリーで、サボテンや多肉植物などの生産、輸出入を手がける。海外の多肉植物事情にも詳しく、年1回は北・南米などへ足を運ぶ。
『趣味の園芸』テキストの特集に関連して、担当編集者による講師へのインタビューなどをウェブ限定で公開します。(毎月2回更新予定)