天空の花散策~「北アルプス山麓の高山植物」取材ノートから
いささか大仰なタイトルを付けましたが、7月下旬、そう表現したくなるような高山植物取材の機会に恵まれました。その場所は長野県の白馬(白馬村)・栂池(小谷村)、ウィンタースポーツのスキーで知られる北アルプス山麓です。
この北アルプス山麓の一部は、ある理由から夏季は手近に高山植物を散策できるスポットになっています。「みんなの趣味の園芸」でおなじみの白馬五竜高山植物園もその一つでした。
白馬五竜高山植物園によると、白馬連峰は標高2,300メートル付近が森林の限界なのですが、その山麓で標高が低い八方尾根や白馬五竜高山植物園は、植物の生育には厳しい蛇紋岩地質であるがゆえに森林ができにくく、その結果、標高1,500メートルを超えるあたりでも高山植物を観察することができるのだそうです。
「白馬で美しい高山植物と出合える!!」――この時期、開催されている白馬村・小谷村のイベント「白馬Alps花三昧2018」にあわせ、ゴンドラやロープウェイ、リフトを乗り継いで、北アルプス山麓に天空の花々を目指しました。
最初に訪れた栂池自然園。標高1,900メートルのフィールドには大きな湿原が広がっていました。ウグイスのさえずりとともに、ニッコウキスゲやワタスゲが織りなすパノラマは気持ちのよい光景でした。
次に向かったのは、標高2,000メートルのトレッキングが味わえる八方尾根自然研究路。さえぎるもののない岩と石の登山道を歩いていくと今なお雪渓が残り、傍らにはユキワリソウの和名をもつプリムラ・モデスタ、白いチングルマといった春の花が咲いていました。
そして白馬五竜高山植物園、蛇紋岩地質を利用した植物園です。標高1,500メートルから1,600メートル超の斜面には、高山植物の女王といわれるコマクサやタカネナデシコなどの高山植物が......! さらにはヒマラヤの青いケシで親しまれるメコノプシス、ノモカリスといった、高山植物園ならでは珍しい花が咲いていました。
(北アルプス山麓の花々が楽しめる「白馬Alps花三昧2018」は、8月31日まで開催されています。)
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【不定期連載】 園芸LOVE 原田が行く
「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』シニアエディター・原田による園芸エッセイです。