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育てて、収穫して、自家製コーヒーが飲める! 倉重祐二さんにコーヒーノキについて聞いてみた!<後編>趣味の園芸9月号こぼれ話

育てて、収穫して、自家製コーヒーが飲める! 倉重祐二さんにコーヒーノキについて聞いてみた!<後編>趣味の園芸9月号こぼれ話
趣味の園芸9月号で講師を務めたさん倉重祐二さんに、コーヒーノキについてのお話を伺いました

ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」だけで読める「テキストこぼれ話」。今月は9月号の観葉植物特集で「夢を育てる コーヒーノキ」の講師を務めた、新潟県立植物園の園長・倉重祐二さんが登場します。

 

前編では、コーヒーノキの主な種類と栽培環境についてお聞きしました。後編では、植物園での取り組みについて伺います。

 

編集部(以下、編):ところで、新潟県立植物園ではどうしてコーヒーノキの栽培に力を入れるようになったのですか?

 

倉重祐二(以下、倉):園では植物を展示するだけでなく、さまざまなイベントを企画しています。2016年に開催した「植物と食文化講座」で、「違いのわかるコーヒー教室」と題してコーヒーノキを取り上げたところ、地元のカフェから「植物園で栽培するコーヒーノキの豆を収穫させてもらいたい」という申し出があるなど、大きな反響がありました。これを機に、バリスタ協会などとコラボして、「にいがたコーヒープロジェクト」が2017年6月にスタートしました。

 

:具体的にはどんな活動を?

 

:植物園としては、緑化普及を目的にコーヒーノキの苗木を販売するとともに、家庭での育て方をサポートし、豆を収穫して自分だけのコーヒーを飲もう、というコンセプトを掲げています。

園内では毎週金・土・日曜日にカフェを営業して、地元のカフェでブレンドし、バリスタが淹れたコーヒーなどを提供しています。また、焙煎講座やドリップ講座などのイベントも開催しています。

 

:失礼ながら、公共施設にこんな居心地のよいカフェ空間があって、本格的なコーヒーが飲めるとは思いませんでした。

 

:厳密には、店舗はカウンターの内側だけなので、客席には持ち込みもOKです。ぜひ気軽に足を運んでみていただければと思います。

 

:プロジェクトは植物園の外にも拡大しているんですよね。

 

:ええ。7月にコーヒー焙煎事業を手がける企業主催のイベントがありました。

国内外のコンテストで優勝経験のある焙煎士らを招いてのコーヒートークセッションのほか、私は日本初のスペシャルティ・コーヒーとして認定された、沖縄県産のコーヒー苗木を受け取りました。今後は植物園での成長の過程を、SNSなどで随時お伝えしていきます。

前編で触れたように、このとき初めて、現地でも飲めなかった沖縄県産のスペシャルティ・コーヒーを試飲しました。あんこのようなやわらかい甘み、抹茶のような香りが感じられ、全体的に心地よい、ほっとするような味で、非常においしかったです。沖縄の大地を感じました。

 

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沖縄のコーヒー生産者・徳田泰二郎さんが育てた苗木を受け取る倉重さん。(写真提供:にいがたコーヒープロジェクト)

 

:夢が広がりますね!

 

:プロが監修したレシピを、スマートフォンから最新の焙煎機に読み取らせて焙煎する、というのも新鮮な体験でした。

 

:沖縄では、どのようなスタイルでコーヒーを生産しているんでしょうか?

 

:今年5月に訪問した生産農家では、ご夫婦でとても丁寧にコーヒーノキを育てていました。特に印象的だったのが、強い直射日光が苦手なコーヒーノキのシェードツリーとして、ウラジロエノキを使っていた点です。成長が早く、枝が水平に出て日陰をつくり、下枝は順に枯れていくので、コーヒーノキの高さに枝が当たることはありません。周囲の自然を生かした、すばらしい工夫だと思います。

 

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沖縄のコーヒー生産農場の風景。シェードツリーにはウラジロエノキ。(撮影:倉重祐二)

 

:沖縄ならではですね。観葉植物としてのコーヒーノキも、沖縄で生産されているんでしょうか?

 

:苗木は台湾で生産されたものが多いようです。すべて実生ですね。発芽率はよくて、沖縄の生産農家から譲り受け、私がまいた270粒もほぼ全て発芽しています。

 

:なるほど。最後に、コーヒープロジェクトの今後の展望を教えてください。

 

:生産農家と植物園で情報交換をしながら、より日本に適した栽培技術についての研究を行っていく予定です。プロジェクトを通して育て始めたコーヒーノキは、うまく成長すれば来年あたりから開花し始めるかもしれません。みなさんの栽培をフォローしながら、夢を現実にしていきたいですね。

 

:ありがとうございました!

 

<終わり>

前編はこちら

 

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倉重祐二(くらしげ・ゆうじ)

新潟県立植物園園長。専門はツツジ属の栽培保全や系統進化、園芸文化史。著書に『よくわかる栽培12か月 シャクナゲ』など。2017年6月より、にいがたバリスタ協会と「From Seed to Cup 〜コーヒーの種からカップまで〜」をテーマに「にいがたコーヒープロジェクト」をスタート。週末は植物園の温室内で「にいがたコーヒーラボ」を営業。コーヒー関連のイベントや講座も開催している。

 

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『趣味の園芸』9月号 最新号の見どころを紹介

 

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「みん園」限定! 趣味の園芸テキストこぼれ話

『趣味の園芸』テキストの特集に関連して、担当編集者による講師へのインタビューなどをウェブ限定で公開します。(毎月2回更新予定)

 

 

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