花好きなら一度は自生地で見てみたい!「宝石の塔」エキウム・ウィルドプレッティ<テキストこぼれ話・特別編>第1回
『趣味の園芸』2019年2月号で、カナリア諸島のアエオニウムの自生地レポートを紹介しましたが、大西洋に浮かぶスペイン自治州カナリア諸島は、アエオニウム以外にも島固有の植物の宝庫です。
誌面では紹介しきれなかったカナリアの植物たちを、全3回に分けて紹介します。
『趣味の園芸』×『旅するスペイン語』2月号テキストこぼれ話・特別編 第1回
文/NHK出版語学編集部『旅するスペイン語』取材班
世界遺産・テイデ国立公園を象徴する花
カナリア諸島最大の島テネリフェ島には、スペイン最高峰(3,718m)のテイデ山がそびえ、その周辺はテイデ国立公園として世界遺産にも登録されています。標高2,000mを超え、冬には零下になる乾燥した厳しい環境に適応した高山植物が多く見られ、花好きが世界中から訪れます。そんなテイデ山を象徴する花がエキウム・ウィルドプレッティ(Echium wildpretii)です。現地名タヒナステ・ロホ、別名は「宝石の塔」。ムラサキ科の植物で、大きなものは花穂が3m近くにもなります。近づいて見ると、小さな花が螺旋状に連なって咲いているのがわかります。
エキウム・ウィルドプレッティ(Echium wildpretii)
開花期は5~6月。開花までに3年かかり、開花するとその株は枯れます。日本でも栽培されていますが、テイデ山という雲より高い自生地で、遮るもののない強い日差しと濃い青空の下、この赤い花に出会ったときには、感動に言葉を失いました。
もうひとつのウィルドプレッティ
エキウム・ウィルドプレッティ トリコシフォン(Echium wildpretii ssp. trichosiphon)
テネリフェ島の北西に位置するラ・パルマ島は、カナリアのなかでも緑が多く「美しい島(isla bonita)」と呼ばれています。この島の標高2,000m付近には、エキウム・ウィルドプレッティの亜種で島固有のトリコシフォン(Echium wildpretii ssp. trichosiphon)が自生しています。赤花のウィルドプレッティは有名ですが、こちらのトリコシフォンは紫~ピンク色の花を咲かせます。カナリア諸島に訪れても端にあるラ・パルマ島まで来る人は限られており、この花の存在も一般的にはあまり知られていないようですが、大きな花穂が一面に上がっている風景は圧巻でした。
『旅するスペイン語』2019年2月号、『趣味の園芸』2019年2月号でも、カナリアの植物について詳しく紹介しています。
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