ヤシ、ユーフォルビア、マーガレット まだまだあるカナリアの植物たち<テキストこぼれ話・特別編>第3回・完
『趣味の園芸』2019年2月号で、カナリア諸島のアエオニウムの自生地レポートを紹介しましたが、大西洋に浮かぶスペイン自治州カナリア諸島は、アエオニウム以外にも島固有の植物の宝庫です。
誌面では紹介しきれなかったカナリアの植物たちを、全3回に分けて紹介します。
『趣味の園芸』×『旅するスペイン語』2月号テキストこぼれ話・特別編 第3回
文/NHK出版語学編集部『旅するスペイン語』取材班
カナリーヤシ
カナリアにはアエオニウム、エキウム、リュウケツジュのほかにも魅力的な植物がたくさんあります。カナリーヤシ(Phoenix canariensis)もその一つ。日本でも関東以南の暖地によく植えられているヤシで、フェニックスとも呼ばれます。この大型のヤシもカナリア出身で、カナリアの街路樹や庭のシンボルツリーとしては最も一般的です。このヤシの樹液を集めて煮詰めたパームシロップはカナリアの名産品。日本の黒蜜によく似た甘いシロップです。料理やデザートにかけていただきます。
ケソ・フレスコとよばれるヤギのフレッシュチーズを焼いて、カナリーヤシのシロップをかけた料理。
そもそもカナリア州の中心都市であるグラン・カナリア島のラス・パルマスはスペイン語でヤシの木の複数形、「美しい島」として知られるラ・パルマ島もそのままヤシの木という意味です。カナリアを代表する植物、それがこのカナリーヤシなのです。
ユーフォルビア・カナリエンシス
ラ・パルマ島海岸沿いにて。
カナリアでは、海沿いの断崖などにサボテンのような植物がニョキニョキと生えている風景をよく目にします。この植物はサボテンではなく、ユーフォルビア・カナリエンシス(Euphorbia canariensis)という多肉植物です。日本ではスミキリン(墨麒麟)という名前でも流通しています。このカナリエンシスのほかにも、カナリアには多くの固有のユーフォルビアが自生しています。
マーガレット
ラ・ゴメラ島の固有種 Argyranthemum broussonetii ssp. gomerensis。
日本でもポピュラーなマーガレット。その園芸種の元となったと言われるモクシュンギク(Argyranthemum frutescens)もカナリア原産の植物です。ほかにもカナリア固有のマーガレットの原種が数多く見られます。
カナリアは固有植物が500種以上という「植物の楽園」です。日本から行くのはちょっと遠いですが、植物好きであれば、ぜひ一度行ってもらいたい素晴らしい場所でした。
『旅するスペイン語』2019年2月号、『趣味の園芸』2019年2月号でも、カナリアの植物について詳しく紹介しています。
『旅するスペイン語』2月号(NHK出版の商品ページに移動します)