「小輪ベル型」か「大輪咲き」か、あなたのお好みは!?~2019年「春の花々とクレマチス展」開催
小輪ベル型と大輪咲きのどちらが好きか、クレマチスを見ているといつも考えてしまいます。そんなとき、「趣味の園芸」のクレマチスでおなじみの金子明人さんから、面白い話を聞きました。
「つぼ型やベル型のクレマチスが好まれるのは日本だけです。欧米では、枝がよく伸びて花がたくさん咲き、壁一面を覆ってくれるクレマチスが喜ばれます。だから日本で注目されない大輪系が海外に行くと評価される、という現象が起きます。」(金子明人さん)
ガーデンが大きい欧米では、遠くから眺めて見栄えがする、花が大きくて花数も多い品種が喜ばれます。一方、小さなスペースで園芸を楽しむ日本は、鉢で育てたり、低いフェンスを覆ったりと、近距離で向き合うのに適した品種が求められる、という具合です。
さらに金子さんは、クレマチスの新品種導入や育種で、近年、日本の個人育種家が大変、頑張っているとも語っていました。
「生産者による育種の多くは鉢植えでのパフォーマンスを重視しますが、日本の個人育種家は最終的に庭植えを意識して選抜することが多いのです。彼らは極端に株が大きくならずに花数が多く、そして花形、花色に注目しています。」(金子明人さん)
さて、今年のサンシャインシティ「春の花々とクレマチス展」は、春からの園芸を彩るクレマチス約100品種がそろいます。金子さんによると、今回、海外から導入された'アストラノバ'と 'ソーメニーフラワーズ'が面白いとのこと。
'アストラノバ'はビチセラ系の新枝咲き小輪で、白地に紫の覆輪の花を多数咲かせるそうです。'ソーメニーフラワーズ'は早咲き大輪系で新旧両枝咲き。赤系の花を開花させ、つるはガーデンでは2メートルぐらいと比較的扱いやすいサイズだそうです。
一方、個人育種家の貢献として、'プリンセス・ダイアナ'が日本国内で改良された'ハッピー・ダイアナ'。金子さん曰く、「つぼ型ながら花が大きく目立つ存在なので、アメリカやカナダでは注目されています。英国で生まれ、日本で改良され、海外で注目されるという面白い存在です」。
春の一日、ガーデニングに欠かせない春の花々や多肉植物等のフラワーマルシェとともに、自分好みのクレマチスも探してみてはいかがでしょうか。
●春の花々とクレマチス展
期間:2019年3月15日(金)、3月16日(土)
会場:東京・池袋 サンシャインシティ 噴水広場 地下1階
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【不定期連載】 園芸LOVE 原田が行く
「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』シニアエディター・原田による園芸エッセイです。