盆栽の世界におけるヤマアジサイと四国で見つかった品種を、山田香織さんが紹介!<前編>趣味の園芸5月号こぼれ話
ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」だけで読める連載「テキストこぼれ話」。『趣味の園芸』テキストの特集に登場した、講師の方にインタビューします。専門家の方だけが知っているおもしろい情報が満載です。
今回は5月号特集「ヤマアジサイの盆栽」の講師を務めた山田香織さんに、ヤマアジサイについてさらに教えていただきました。
ヤマアジサイは「春から初夏へ、季節の移り変わりを知らせる花」と山田さん。ブルーの花は、盆栽の樹種としては珍しいものです。
「伝統盆栽の世界では、ヤマアジサイを主にすることはまずありません。『添え(主木に対して飾られ、主木を引き立てる役目の雑木、花もの・実もの、草ものなど)』として使う程度です。盆栽は枝に針金をかけて枝ぶりをつくり、さらに剪定することによって小枝を出したりして、小さな盆栽鉢でも大木のような風格をつくっていきますが、枝を更新しながら株立ちになっていくヤマアジサイは、株元の木質化した部分に針金をかけることができる程度。初心者は少しずつ鉢を大きくして、自然な株立ちに仕立てていくのがおすすめです」
株立ちのヤマアジサイ'黒姫'、下草のベニフウチソウを寄せ植えに。
「ヤマアジサイは日本の関東地方以西に自生する植物です。なかでも四国地方では特に多くの変異品種が発見されていて、『伊予○○』『土佐○○』といった地名がついた品種がたくさんあります。その一部をご紹介します」
伊予白
伊予の十字星
伊予の薄墨
土佐の緑風
土佐の暁
土佐の涼風
瀬戸の潮風
「ヤマアジサイには700~800の品種があるといわれています。ぜひ自分好みのヤマアジサイを見つけてみてください」
【後編はこちら】進化する盆栽ツール!盆栽の楽しみが広がる新プロジェクトを、山田香織さんが紹介!
山田香織(やまだ・かおり)
盆栽家。さいたま市盆栽町生まれ。江戸時代から続く盆栽園の5代目。盆栽の技法や伝統を伝える盆栽教室を主宰。初心者や女性、子どもでも気軽に楽しめる寄せ植えのミニ盆栽も提唱。幅広く盆栽の魅力を発信している。『山田香織のはじめての盆栽樹形 10の景色を楽しむ』(NHK出版)など著書多数。
『趣味の園芸』テキストの特集に関連して、担当編集者による講師へのインタビューなどをウェブ限定で公開します。(毎月2回更新予定)