進化する盆栽ツール!盆栽の楽しみが広がる新プロジェクトを、山田香織さんが紹介!<後編>趣味の園芸5月号こぼれ話
ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」だけで読める連載「テキストこぼれ話」。『趣味の園芸』テキストの特集に登場した、講師の方にインタビューします。専門家の方だけが知っているおもしろい情報が満載です。
今回は5月号特集「ヤマアジサイの盆栽」の講師を務めた山田香織さんが登場。前編では、盆栽としてのヤマアジサイやさまざまな品種ついて教えていただきました。
後編では、盆栽の常識を変える!?新しい取り組みを紹介します。
マツやシンパクなどの樹齢を重ねた錚々たる盆栽が並び、ウメの香りが漂う老舗盆栽園・清香園。バックヤードでは密かに新しいプロジェクトが進められていました。
『盆栽というと基本的には戸外管理で、これから夏にかけては1日に何回も水やりをしないとすぐに水切れしてしまうので、ハードルが高いと思われる方もいるかもしれません。また、室内で観賞したいけれども、こまめに出し入れをするのは大変という方も。
そんな現代のライフスタイルにあわせて、室内でも盆栽が育てられる、盆栽用の植物育成ライトの開発に協力しています』
「樹種によって必要な光量が違うので、標高の高いところに生えるマツなど、より明るくする必要がある樹種は、台などを置いてライトに近づけるように調整します。1日中つけっぱなしにするのではなく、夜はきちんと暗い時間をつくります。2018年8月からここで実験していますが、2019年3月現在、カエデも芽吹き始めて、順調に育っています」
「ライトのほかにもう一つ、水やりの目安がわかる水分計の使用もあります。室内で育てるとなると、水やりのたびに一鉢ずつキッチンのシンクに持っていって......というのは大変。水分計を使うことで、水やりのタイミングがひと目でわかるので、必要な鉢にだけ水やりができて効率的です」
「こちらは盆栽用の銅製ジョウロで、全長100cmほどあり、ある程度広いスペースで取り回すことを想定したサイズです。最近はこれより一回り小さく、キッチンや小さなベランダなどでも水やりがしやすい大きさのものもつくられています」
小さい庭やベランダ、室内で園芸を楽しむ人がふえているのと同様に、盆栽をさまざまなシーンで楽しむための工夫を見せていただきました。ツールを駆使することで、盆栽の楽しみ方がより広がりそうです。
<終わり>
山田香織(やまだ・かおり)
盆栽家。さいたま市盆栽町生まれ。江戸時代から続く盆栽園の5代目。盆栽の技法や伝統を伝える盆栽教室を主宰。初心者や女性、子どもでも気軽に楽しめる寄せ植えのミニ盆栽も提唱。幅広く盆栽の魅力を発信している。『山田香織のはじめての盆栽樹形 10の景色を楽しむ』(NHK出版)など著書多数。
『趣味の園芸』テキストの特集に関連して、担当編集者による講師へのインタビューなどをウェブ限定で公開します。(毎月2回更新予定)