ランの魅力を楽しむ新たな視点が見つかる~第59回蘭友会らん展in サンシャインシティ
ランというとつい花に目を奪われてしまいますが、最近はランの生きる姿、生態に注目する若い園芸ファンが増えてきているようです。
ランは温帯から熱帯、亜熱帯と世界の広い地域に分布しています。しかも樹の上に着生していたり、木漏れ日がさすような林床でひっそりと暮らしていたりと、その生きざまは多様です。またその生態に対応するかのように、株姿もいろいろです。
ちなみに『園芸大事典』をひも解くと、ランの仲間の記載で膨大なページが費やされています。これだけでもランと呼ばれる植物が、いかに多く存在するかがかわります。これほど多彩であることを考えるとき、個性的なランの姿や生態が注目されるのは当然なのかもしれません。
さて、世界のユニークなランと向き合い、愛好している蘭友会による「第59 回蘭友会らん展~初夏の蘭を楽しむ~」が5月23日(木)から東京・池袋のサンシャインシティで開催されます(会期は26日(日)まで)。
「初夏の蘭を楽しむ」というタイトルからもわかるように、冬のラン展では味わえない魅力あふれるランが集結します。過去に出展された事例として、たとえばボルネオの青いラン、クレイソセントロン・メリリアナム(Cleisocentron merrillianum)。あるいは1本の花茎に赤と黄色の違った模様の花が咲くデモルフォルキス・ローウィー(Dimorphorchis lowii)等々。珍しいランだけに今年も登場するか、確定的ではありませんが、出品されていたら見てみたいランです。
一方、注目の企画展示が「残念なラン」。園芸的には価値が低いように思えても、ラン愛好者の心を捉えて離さない味わい深さや面白さがいっぱいのランが登場します。たとえば「無葉蘭」と呼ばれるキロスキスタ・プシラ(Chiloschista pusilla)。文字通り、葉が退化した不思議なランです。レパンティス・カロディクティオン(Lepanthes calodictyon)も、極小ながらも特異な花は来場者の注目度が高いランです。
世界中のランと向き合って育てている蘭友会だけに、見事な花はさることながら、生態を上手に活用した栽培事例は参考になります。ランとの暮らし方が見つかる展示会になっているかもしれません。
●第59 回蘭友会らん展~初夏の蘭を楽しむ~
期間:5月23日(木)~26日(日)10時~18時(最終日16時30分まで)
会場:東京・池袋サンシャインシティ ワールドインポートマートビル4階
入場無料
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【不定期連載】 園芸LOVE 原田が行く
「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』シニアエディター・原田による園芸エッセイです。