ハーブの無農薬栽培をはじめるには?伊能美緒さんにお聞きします!~『趣味の園芸』4月号こぼれ話<前編>
ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」だけで読める連載「テキストこぼれ話」。『趣味の園芸』テキストの特集内容に関連して、誌面で紹介しきれなかった情報をお届けします。
4月号の「おじゃまします! ハーブ上手のガーデン生活」でご紹介した庭の植栽を担当した、ガーデナーの伊能美緒さん。長く無農薬栽培を手がける伊能さんに、気軽にはじめられるハーブの無農薬栽培のポイントを伺います。
編集部(以下、編):ハーブの無農薬栽培を始めるには、まずどんな苗を選べばいいのでしょうか?
伊能美緒(以下、伊):じつは苗の生産の段階で完全な無農薬栽培というものは、かなり限られています。なので、選択肢を広げるためにもこの段階では無農薬にこだわらず、自分の育てたいハーブの苗を選ぶことをおすすめしています。その際、生産者がわかる苗だとより安心ですね。
編:なるほど! まずは好きなハーブの苗を買っていいんですね。買ってきたら、そのあとは?
伊:まずは植え替えをしましょう。土は市販の草花用の培養土でもいいですし、よりこだわる方であれば有機系の草花用培養土を使っても。私は、赤玉土:鹿沼土:黒土:堆肥を5:1:2:2の割合で混ぜて、自分でブレンド土を作っています。
編:植え替えにおすすめの鉢はありますか?
伊:通気性を考えると、やっぱり素焼きの鉢がおすすめです。最近は通気性のよい不織布でできた軽い鉢もありますね。大きさは苗より2まわり大きいくらい、根をしっかり下まで張れるよう深めの鉢にしてくださいね。
素焼きの鉢に植えられた、イエルバブエナ、ローズマリー、コモンタイムなど
編:植え替えたら、どんなところに置けばいいのでしょう?
伊:置き場所で何より重要なのは風通しです。もしベランダに鉢を置くのであれば、床に直置きするのは避けたほうがいいですよ。
編:直置きしてました...。
伊:ちょっとした台やスツールなどの上に置くだけで、通気性は格段によくなります。そして基本は日当たりのよい場所がいいのですが、キッチンハーブ(バジルやパセリなど食用のハーブをさす)の場合は、少し注意が必要です。
編:どんなことに?
伊:夏場の西日が長時間あたるところでは、葉が焼けてしまったり固くなったりして、おいしくなくなってしまいます。なので、夏場のキッチンハーブは午前の東の陽が当たる場所がベストではあります。
こんなふうに、手軽な台やトレーを組み合わせて置き場所を作っても。
ここまで準備が整ったら、いよいよ本格的な無農薬栽培のスタート。
伊能美緒(いのう・みお)
ガーデナー/祖父の影響で無農薬栽培に関心を持つように。造園会社・園芸店・植物公園などで造園、運営補助などを行う。その後、有機栽培での庭づくり、メンテナンスなどを提案する店・KoHo Harb&Gardenを設立。個人宅の造園や、ハーブ・園芸教室を開催。また自身の農場にてハーブの栽培もおこなう。
「テキストこぼれ話」では、『趣味の園芸』テキストの特集に関連して、担当編集者による講師へのインタビューなどをウェブ限定で公開しています(毎月2回更新予定)
『趣味の園芸』2020年4月号(3/21発売)
「おじゃまします! ハーブ上手のガーデン生活」(p.70~)では、伊能さんが植栽を担当したお庭のオーナーの方々に、充実したハーブ生活の様子を伺いました。