「白い植物」に魅せられて~連載「ディーププランツ入門」4月号こぼれ話<2>
園芸の入り口は限りなく広く、その先は限りなく深い。『趣味の園芸』テキスト連載「ディーププランツ入門」では、毎月、特定の植物を深く愛する人たちに、その植物の魅力を教えてもらいます。誌面に収まりきらなかったこぼれ話をウェブ限定で公開!
『趣味の園芸』4月号「ディーププランツ入門」の第1回に登場した熱川バナナワニ園の清水秀男さん。
いちばん好きな植物はサボテンということで、誌面ではサボテンと歩んできた半世紀についてお話してくれました。しかし清水さんにはほかにも強い思い入れのある植物があります。それが「白い植物」です。
清水さんの研究室の窓際には、真っ白で美しい植物たちが並んでおり、その多くは、乾燥地で強い光線を反射して身を守るために全身が白くなった植物たちです。
なかでもひと際目立つ2種についてご紹介します。
エケベリア・ラウーイ Echeveria laui
撮影:丸山光
表面をワックス状物質が覆い、幻想的なまでの白さが魅力。ドイツ人牧師でメキシコの植物の研究者でもあるアルフレッド・ラウー氏が発見した。氏の功績を称えて彼の名がつけられている。清水さんは1973年にメキシコでラウー氏と知り合い、その後何度もラウー氏のご自宅を訪れている。1982年の新婚旅行時に葉を3枚プレゼントされ、それを丹精してふやした思い出深い植物。真っ白なワックスが命のため、頭から水をかけたり手で触るのは厳禁。
仙女盃(せんにょはい) Dudleya brittonii
撮影:編集部
メキシコに自生するダドレア属の純白植物。1996年にアメリカサボテン多肉協会から配布された種子をまいたもの。やはり表面の白い粉は頭から水やりしたり手で触ると落ちてしまうので厳禁。
なお、エケベリア・ラウーイも仙女盃も、夏は水をひかえて休眠させるといわれていますが、清水さんの経験では、ラウーイは夏冬継続して育つので夏の断水は不要とのこと。
教えてくれた人
撮影:丸山 光
清水秀男さん
1951年東京都生まれ。静岡県にある熱川バナナワニ園で40年以上植物の研究と管理を行っている。「熱帯動植物友の会」「日本ブロメリア協会」の事務局も務める。
★こぼれ話<1>はこちら
テキスト4月号では、清水さんが55年間育ててきた金鯱をはじめとする思い入れのあるサボテンたちを紹介しています。こちらもぜひご覧ください。
『趣味の園芸』テキストの連載「ディーププランツ入門」。誌面に収まりきらなかったこぼれ話をウェブ限定で公開します。【毎月1~2回更新予定】