トピック&ニュースグリーンライフに役立つ最新トピック&ニュースをお届け!

山野草の夏越しを容易にする「小山飾り」の作り方~連載「ディーププランツ入門」7月号こぼれ話

山野草の夏越しを容易にする「小山飾り」の作り方~連載「ディーププランツ入門」7月...
イワシャジンの小山飾り/写真提供:久志博信

園芸の入り口は限りなく広く、その先は限りなく深い。『趣味の園芸』テキスト連載「ディーププランツ入門」では、毎月、特定の植物を深く愛する人たちに、その植物の魅力を教えてもらいます。誌面に収まりきらなかったこぼれ話をウェブ限定で公開!

 


 

山野草と歩んで半世紀の久志博信(ひさし・ひろのぶ)さん。『趣味の園芸』7月号「ディーププランツ入門」の第4回では、風にそよぐ姿が涼し気な気持ちにさせてくれるシャジンの仲間と、山歩きでの植物観察について語ってくれました。

 

記事内に「イワシャジンの小山飾り」の写真を掲載しましたが、この「小山飾り」の特徴やメリット、作り方については誌面には入りきらなかったため、特別に「みんなの趣味の園芸」でご紹介します。

 

小山飾り(こやまかざり)とは?

 

「小山飾り」とは、穴の開いていない浅い皿や容器(穴の開いているものを使うこともある)の上に、用土を小山のように盛り、そこに植物を植えつけたり、寄せ植えしたりする栽培手法のことです。

 

●小山飾りのメリット

保水効果 皿には穴が開いていないので水が残り、しかし用土は盛ってあるので、根が水浸しになることはなく、徐々に水が吸い上げられます。

冷却効果 用土を覆ったコケの表面からは水分が蒸散し、気化熱の効果で用土が冷却され、夏の暑さに弱い植物の夏越しが容易になります。

 

●小山飾りに向く植物

多くの植物を小山飾りで育てることができますが、花物の山野草なら、コナラなどの苗木に添える形で、シャジンの仲間のほか、イワウチワ、オウレンの仲間、クルマユリやヒメサユリなど小形のユリ、ミヤマキリシマなど小形のツツジ、コケモモ、小型のギボウシショウジョウバカマイワタバコ、イワギリソウ、イワチドリ、コゼンタチバナ、ヒトツバショウマ、ダイモンジソウなどが向きます。

 

202007deep_02.jpg

イワチドリの小山飾り(寄せ植え)/写真提供:久志博信

 

基本の小山飾りの作り方

 

202007deep_03_1.jpg

1.繊維の長い長繊維ピートモスを、水で溶いたケト土に浸け混ぜて繊維用土を作ります(市販の「夢想」で代用できます)。このケト土がしみ込んだ長繊維ピートモスを、市販のパイプのジョイント部品などを使い、皿の周りに盛りつけて、ピートモスの枠を作っていきます(写真)。

 

202007deep_03_2.jpg

2.パイプを抜き、ピートモスでできた枠の中に、まず鉢底石を入れ、用土を入れていきます(写真)。用土は水はけのよい山野草用土(硬質鹿沼土7と軽石砂2、共に小粒、に市販の有機質用土1の配合土など)がおすすめです。元肥として化成肥料を加えておきます。

 

202007deep_03_3.jpg

3.植物を植えていきます(写真)。用土を足し、周りをケト土に浸けた長繊維ピートモスで覆います。その後霧吹きをしながら、両手で硬く抑えて山を固めます。

 

202007deep_03_4.jpg

4.周りにコケを貼っていきます(写真)。ハイゴケや栽培場所の周囲に生える苔が適します(ただしゼニゴケは除く)。周りにコケを張った後、霧吹きをしながら両手で抑えてコケを落ち着かせます。

 

202007deep_03_5.jpg

5.植物の根が伸びて小山が安定し、コケが活着するまで、全体を誘引用のビニールタイでぐるっと固定します(写真)。

 

だいたい3か月で、ビニールタイを外せます。

 

●小山飾りの管理

午前中に日が当たる場所で、強い風を避けて管理します。雑草は根が張ると山を壊してしまうので、早めに取り除きます。乾燥しやすい場合は、水やりをふやすか、山を低くする、皿を深くするなどして対応します。2~3年に1回は植え替え(小山を崩して新たに植えつけ)、あるいは小型の作品2点以上を1/2に割って、これをさらにに大きな薄いお皿の周囲に配置して壁を形成し、より大きな作品(大山飾り)に仕上げるとたくさんの植物を植えることができ、楽しみが倍加します。また、この栽培方法は小型の観葉植物の栽培にも最適です。いずれにしても、この栽培方法はまだ、始めたばかりの未完手法です、ぜひみなさんの新しい発想を加えて、楽しい園芸分野に育てていただくよう願っています。

 

テキスト7月号の「ディーププランツ入門」では、久志さんが、イワシャジンの仲間の魅力と栽培法、さらに山歩きしながらの植物観察の楽しさについて紹介しています。

 

教えてくれた人

202007deep_pro.jpg

久志博信(ひさし・ひろのぶ)さん

1942年和歌山県生まれ。長年「趣味の園芸」で山野草の講師を務める。栽培だけでなく、山歩きをしながらの植物観察と撮影がライフワーク。

●久志さんのブログ 「山の花は友達」

 

202007e_01.jpg

『趣味の園芸』7月号の紹介はこちら

 

ディーププランツ入門405.jpg

『趣味の園芸』テキストの連載「ディーププランツ入門」。誌面に収まりきらなかったこぼれ話をウェブ限定で公開します。【毎月1~2回更新予定】

 

会員登録がお済みの方は

会員登録をすると、園芸日記、そだレポ、アルバム、コミュニティ、マイページなどのサービスを無料でご利用いただくことができます。

定期購読
投稿募集中 from テキスト編集部
見て見て!お気に入りの花

見て見て!お気に入りの花
自慢の植物・庭の写真を募集中!

みんなのマルシェ

みんなのマルシェ
自慢の畑・野菜の写真を募集中!