ブルーベリーを育てて50年!名人・福田 俊さんがたどり着いた栽培法とは<前編・雑草は役に立つ!>~『趣味の園芸』7月号こぼれ話
ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」だけで読める連載「テキストこぼれ話」。『趣味の園芸』テキストの特集内容に関連して、誌面で紹介しきれなかった情報をお届けします。
7月号で「収穫量アップのための 手つなぎ誘引&バッサリ剪定」の講師を務めた福田俊さん。ご自身の農園で5年ほど前から始めたという、雑草を生やしたままにする自然栽培について詳しく伺います。
編集部(以下、編) 福田さんがこの農園で、ブルーベリー栽培をスタートされたのはいつごろですか?
福田 俊(以下、福) 以前の園で2004年から2年間を過ごし、ここに越してきたのは2007年です。
編 当時は、何か雑草対策をしていたんですか?
福 草取りの手間をなくすために、防草シートとポリエステルシートをそれぞれ株下と通路に敷いていました。でも、シートの維持自体にコストがかかるし、シートの下の土が乾燥してカチカチに固くなってきたんです。
編 それは、ブルーベリーの木にも良くなさそうですね。
福 そうです。以前から雑草を生やしたままにする自然栽培で野菜を育てていたので、ブルーベリーでもやってみようと思いました。
編 大きな転換ですね。実際には、どんな作業だったんでしょうか?
福 2015年1月に園全体の防草シートをはがしました。もともと、農園内に高さ10cmほどの畝を作って、そこにブルーベリーを植えていたんです。そこで、固くなっていた通路の土を深さ20cmほど掘り起こして、畝の上にその土を置いてという作業を繰り返しました。ブルーベリーは根に酸素が必要なので、高畝で育てるのが向いているんです。
編 高さ30cmの高畝にしたんですね。
一面に貼られた防草シートをはがし、30cmの高畝を完成させた。
福 それから、通路の下まで伸びていたラビットアイ系の株の地下茎も切りましたね。
編 農園に変化はありましたか?
福 ありましたよ。すぐに冬草がどんどんのびてきて、春にはホトケノザ、ヒメオドリコソウ、オオイヌノフグリ、ハコベ、ナズナ、タンポポなどの草に全面が覆われました。
編 緑で覆われた農園、すてきですね。
福 季節の花が次々に花を咲かせ、とてもきれいでした。一面にシートを貼っていたときは全く違う光景ですね。
編 雑草はずっとそのままでいいんですか?
福 初夏から夏にかけて、長く伸びるイネ科の草や、つる性のヤブガラシ、ヘクソカズラ、マルバルコウソウなどが出てきました。そのままではブルーベリーの株に這い上がってしまうので、地上5cmくらいを残して草刈りをしました。
編 抜くのではなく、刈るんですね。
福 地上は常に草で覆われている状態を維持したんです。
夏の雑草は放っておくと草丈1メートルまで伸びることも。
福田 俊(ふくだ・とし)
東京農業大学グリーンアカデミー。東京農工大学の農場でブルーベリーに出会い、研究に参加。種苗会社に勤めながら自宅で栽培を始める。2003年から農園での栽培をはじめる。今では90品種、200本を超えるブルーベリーを栽培。自ら育種した品種(フクベリー)もある。現在は東京農業大学グリーンアカデミーで講師も務める。
「テキストこぼれ話」では、『趣味の園芸』テキストの特集に関連して、担当編集者による講師へのインタビューなどをウェブ限定で公開しています(毎月2回更新予定)
『趣味の園芸』2020年7月号(6/19発売)
「収穫量アップのための 手つなぎ誘引&バッサリ剪定」(p.54~)では、福田さんとっておきの誘引法や、剪定のコツなど、ブルーベリーをより楽しむための栽培法をご紹介します。
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