ブルーベリーを育てて50年!名人・福田 俊さんがたどり着いた栽培法とは<後編・土は生きている!>~『趣味の園芸』7月号こぼれ話
ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」だけで読める連載「テキストこぼれ話」。『趣味の園芸』テキストの特集内容に関連して、誌面で紹介しきれなかった情報をお届けします。
7月号で「収穫量アップのための 手つなぎ誘引&バッサリ剪定」の講師を務めた福田俊さん。前編に引き続き、ご自身の農園で5年ほど前から始めたという、雑草を生やしたままにする自然栽培について詳しく伺います。
編集部(以下、編) 雑草を生やしたままにしたことで、ブルーベリーの生育に影響はなかったのですか?
福田 俊(以下、福) まったくありませんでしたね。一度、冬場に1か月以上雨が降らず、極度の乾燥状態が続いたことがあったんです。近所の農園では、土ぼこりがもうもうと舞っていました。でも、わが園内では雑草が水を吸い上げてくれるので土も湿度を保っていて。水やりの必要もありませんでした。
編 雑草とブルーベリーが水の奪い合いをすると思っていました。
福 まったく逆です。植物同士は共生するんです。そして、3年ほど経ったころでしょうか。カチカチだった通路や株元の土が、踏むと足が沈むほどフカフカになっていることに気づいたんです。
編 そんなに、やわらかく。
福 草の根と土中に住む微生物の働きで耕されているんですね。まさに自然の摂理です。
土も息を吹き返した福田さんの農園。
編 フカフカの土、ブルーベリーにもいいのでしょうね。
福 そういう環境だと健全に育ちますね。土がいいから味もよくなりました。
編 ちなみに、肥料はどうしているんですか?
福 自然栽培では肥料もいりません。じつはブルーベリーは肥料を与えすぎてしまうと、花は咲くけど実がならない、実はなったけど味が苦いというようなトラブルが起きることもあるんです。
編 肥料なしで、おいしいブルーベリーが育つなんていいですね。
福田さんの農園で元気に育った‛レガシー'。
福 もちろん殺虫剤も使いません。 害虫は早め早めに見つけて手でとるを繰り返すだけ。シンプルです。
編 安心して食べられますね。そのほかに、剪定のときに切った枝も活用されているとか。
福 剪定枝を細かくカットしてチップにし株元に敷くと、それを虫の幼虫などが食べて良質の堆肥になるんです。いまブルーベリーは、堆肥がなくても十分に成長しているので、最近はそのチップを野菜作りに活用しています。
編 その方法なら、だれでも手軽にできますね。
福 それから、剪定枝を自作の煙の出ないストーブで燃やし、草木灰を作って野菜の肥料にもしています
編 剪定後の枝も、最後まで役立てているんですね。
福 はい。なんでも自然にまかせるのが一番です。
編 自然はすごいですね! 参考になるお話、ありがとうございます。
<終わり>
福田 俊(ふくだ・とし)
東京農業大学グリーンアカデミー。東京農工大学の農場でブルーベリーに出会い、研究に参加。種苗会社に勤めながら自宅で栽培を始める。2003年から農園での栽培をはじめる。今では90品種、200本を超えるブルーベリーを栽培。自ら育種した品種(フクベリー)もある。現在は東京農業大学グリーンアカデミーで講師も務める。
「テキストこぼれ話」では、『趣味の園芸』テキストの特集に関連して、担当編集者による講師へのインタビューなどをウェブ限定で公開しています(毎月2回更新予定)
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「収穫量アップのための 手つなぎ誘引&バッサリ剪定」(p.54~)では、福田さんとっておきの誘引法や、剪定のコツなど、ブルーベリーをより楽しむための栽培法をご紹介します。
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