今注目の原種ぺラルゴニウム、おすすめ5種を紹介!~連載「ディーププランツ入門」10月号こぼれ話
『趣味の園芸』10月号「ディーププランツ入門」の第7回は、クリスマスローズ育種家でも知られる大木俊明さんが、原種ぺラルゴニウムの魅力について紹介してくれました。
しかし、原種ぺラルゴニウムには、誌面で紹介しきれなかった魅力的な種類が、まだまだたくさんあります! 大木さんのおすすめ品種を、ウェブでさらに紹介します。
原種ぺラルゴニウムに挑戦してみよう
ぺラルゴニウム属には、たくさんの種類がありますが、よく知られているのはゼラニウムやぺラルゴニウムなどの園芸種で、華やかさにあふれた花が広く楽しまれています。
原種ぺラルゴニウムと呼ばれるものは、交配育種されていない原種(野生種)のことで、これまであまり知られていませんでしたが、園芸種にはない野趣あふれる魅力が、最近注目され始めています。
「ぺラルゴニウム属は全部で250種ほどの野生種があるといわれ、主に冬型(夏に休眠するタイプ)で、自生地は南アフリカの西ケープ地方に集中しています。いくつかの節(属をさらに分けた分類)に分かれますが、誌面でも、ここでも、ホアレア節のものを多く紹介しています。一番種類が多いのと、小型種が多く、集める楽しみがあるからです。まずはホアレア節のものから選んで栽培を始めることをおすすめします」
「秋から春先に販売されることが多いので、これからがまさに原種ぺラルゴニウムのシーズンと言えるでしょう」と大木さん。
特にここで紹介するラディカツムやプンクターツムは、最初の一株におすすめの強健種です。
誌面で掲載できなかったおすすめ5種
ペラルゴニウム・ラディカツム
Pelargonium radicatum
ホアレア節。ケープ西部に分布。塊根性で開花時の丈は25cm程度。葉は楕円形で葉の縁は繊毛で覆われています。扇状に咲くさまは花火のよう。
ぺラルゴニウム・プンクターツム
P. punctatum
ホアレア節。栽培が容易で、たくさんの花を咲かせるので、入門者におすすめ。塊根が分かれるのでふやしやすいのも魅力。
ペラルゴニウム・オブロンガツム
P. oblongatum
ホアレア節。ケープ北西部原産。開花時の丈は15cm程度。葉には良い香りがあり、株に対して大きめの花を咲かせます。
ペラルゴニウム・カレドニクム
P. caledonicum
ホアレア節、ケープ南西部に分布。葉の分岐が美しく、白地に入るマルーン色も特徴的。
ペラルゴニウム・クラシカウレ(ミラビレ)
P. crassicaule(P. mirabile)
コルツシナ節。丈は大きくなると50cm。ナミビア南部、ケープ北西部。コーデックス植物としても知られます。ミラビレの名で出回ることが多いですが、ミラビレとして流通するものは正しくはクラシカウレです。多肉質でブッシュ状に生育。写真は自生地で撮影したもの。
*写真はすべて大木俊明さん撮影
テキスト10月号の「ディーププランツ入門」では、大木さんが選りすぐった原種ぺラルゴニウム9種と、プライマリー・ハイブリッドと呼ばれる原種同士の交配種2種(どちらも大木さんが交配したもの)、さらにホアレア節を中心とした栽培方法についても紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。
教えてくれた人
大木俊明(おおぎ・としあき)さん
園芸家/1972年、山口県生まれ。東京芸術大学卒、ファッション業界を経て、2007年に山梨県北杜市でナーセリー(大木ナーサリー)を始めた異色の経歴の持ち主。クリスマスローズの育種、販売を中心に、さまざまな植物を取り扱う。写真は原種ぺラルゴニウムの自生地、南アフリカを訪れたときの大木さん。
園芸の入り口は限りなく広く、その先は限りなく深い。『趣味の園芸』テキスト連載「ディーププランツ入門」では、毎月、特定の植物を深く愛する人たちに、その植物の魅力を教えてもらいます。誌面に収まりきらなかったこぼれ話をウェブ限定で公開!