イチジクをさし木でふやす~『趣味の園芸』11月号こぼれ話<後編>
ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」だけで読める連載「テキストこぼれ話」。『趣味の園芸』テキストの特集内容に関連して、誌面で紹介しきれなかった情報をお届けします。
11月号で、イチジクの栽培について初心者向けにわかりやすく教えてくれた齊藤拓朗さん。前編では、イチジクの魅力とおすすめの食べ方について伺いましたが、後編では、誌面でも予告したさし木の方法について教えていただきました。
剪定枝を無駄にしない
イチジク狩りができる観光農園を営むかたわら、苗木の販売や剪定教室、さらにさし木の苗木づくり体験も行っている齊藤さん。
そこで、イチジクの剪定枝を使ったさし木の方法を教えてもらいました。
「今回の記事では、2月中旬~3月上旬に剪定(切り戻し)をする方法をご紹介しています。このとき切った枝がもったいないので、利用してさし木でふやす、という楽しみをお伝えしますね。植えつけて1~2年目の枝は細いので、3年目以降の充実してきた株の枝で行うことをおすすめします」。
イチジクの剪定枝をつかったさし木
適期=2月中旬~3月上旬
*樹液が肌荒れを起こさせることがあるので、手袋をはめて作業すると安心です。
1 さし穂をつくる
枝の太さは15~20mmあれば理想。さし口にあたる下側はハサミやノコギリで斜めに切る。
2 下側の芽はそぐ
さし穂は長さ20cmに。土の中にさす部分に芽があれば、ハサミでそいで落としておく。
3 さし穂をさす
ポットに鉢底網を敷いて、用土を入れ、さし穂を深さ6cmぐらいまでさす。株元に用土を寄せる。
4 傷口に癒合剤を塗る
上部の傷口からの腐敗を防ぐため、癒合剤(木工用ボンドでも代用可)を塗って、傷口を完全に覆う。
5 その後の管理
明るい半日陰で管理し、11月の植えつけ適期となったら、鉢(10号鉢程度がおすすめ)に植えつける。植えつけ後の管理は11月号参照。
(写真撮影はすべて丸山光)
齊藤拓朗(さいとう・たくろう)
イチジク農家。千葉県館山市でイチジク狩りの観光農園「館山パイオニアファーム」を経営。苗木づくり、剪定などの栽培教室も開き、果樹としてのイチジクの魅力を広く伝える。
「テキストこぼれ話」では、『趣味の園芸』テキストの特集に関連して、担当編集者による講師へのインタビューなどをウェブ限定で公開しています(毎月2回更新予定)
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11月号の「まずはイチジクからはじめよう」では、齊藤拓朗さんがイチジクの育て方について詳しくお伝えします。