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病害虫の防除に雑草の抑制──効果いろいろ緑肥作物

病害虫の防除に雑草の抑制──効果いろいろ緑肥作物
クリムゾンクローバーは菜園の周囲にまくのがオススメ 撮影:福田 稔

緑肥(りょくひ)? 聞いたことはあるけれど難しそう。家庭菜園では無理では? と思っていませんか。いえいえ、そんなことはありません。秋は緑肥作物を始めるのに絶好の季節。元明治大学農場特任教授で有機農業研究家の佐倉朗夫(さくら・あきお)さんに緑肥の基本を教えてもらいました。

 

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緑肥って何?

緑肥とは、土にそのまますき込んで肥料分にしたり、土壌改良に役立てたりするためのもの。こうした明確な効果を求めて、人が意図的に栽培する作物を正確には「緑肥作物」と呼んでいます。野菜とは違い、食用の収穫を目的にはしていません。

 

肥料分の供給や土壌改良のほかにも、緑肥作物には病害虫の防除、雑草の抑制、土壌の保全、景観美化など、さまざまな効果があります。

 

菜園は野菜を育てる場所ですが、野菜以外の植物も育てるほうが、じつはよいのです。そうすることで、微生物や虫なども含めた生物の多様性が保たれます。その結果、特定の微生物や虫だけが異常に繁殖することがなくなり、病害虫による被害が軽減されます。この役割を果たしてくれるのが、緑肥作物です。

 

秋こそ緑肥作物を始めよう

緑肥作物には、主に春から夏に栽培する春まきと、秋から翌春ごろまで栽培する秋まきがあります。春から夏は、菜園も育てている野菜で満員御礼状態ですが、冬に向かうにつれて、空きが出てきます。じつは、畑の土をむき出しにするのは、よいことではありません。

 

土壌微生物のなかには植物の根のまわりに集まってくるものも多く、こうした種類は裸地(らち)になれば減ってしまいます。また、雨が土に直接当たるため、水はけ、水もち、通気性のよい粒々の土(団粒〈だんりゅう〉構造の土)が崩れるうえに、土や肥料分も流れてしまいます。寒風によって表土も飛ばされます。こうした場所に緑肥作物のタネをまけば、土がむき出しになるデメリットが避けられるのです。また、春からの野菜の生育もよくなります。

 

緑肥作物の働きは、いわば自然の力によるもの。菜園に取り入れることで、自然の営み、循環を目の当たりにする楽しみも増します。秋は、菜園仕事が少なくなる時期でもあるので、余裕をもって新しいことに挑戦できるはず。この機会に、あなたも緑肥作物を始めてみませんか。

 

※テキストでは家庭菜園でも簡単にできる、とっておきの方法を紹介しています。

 

■『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2020年10・11月号より

 

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テキスト『趣味の園芸やさいの時間』2020年10・11月号

 

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