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藤川史雄さんに聞く、厳選ケープバルブ7種と植え替えのアドバイス~連載「ディーププランツ入門」2月号こぼれ話

2月号誌面に登場したエリオスペルマム・パラドクサム(Eriospermum pa...
2月号誌面に登場したエリオスペルマム・パラドクサム(Eriospermum paradoxum)

『趣味の園芸』2月号「ディーププランツ入門」の第11回は、近年注目を集めるケープバルブの中でも特にディープな種類を藤川史雄さんに紹介してもらいました。

 

誌面で紹介しきれなかった特徴的なものを、さらにこちらでご紹介いたします。また長く育てるなら必須となる植え替えについても、アドバイスをもらいました!

 

ケープバルブは現在進行形のジャンル

 

ケープバルブは、南アフリカの旧ケープ州を中心に自生する多様性に満ちた球根植物の総称です。今も現在進行形で新種や変異のある個体が見つかり、分類も追いついていない植物界のフロンティアです。世界中に愛好家がおり、今回登場した藤川史雄さんもケープバルブに魅せられた一人です。

 

こんな植物もあるんだという驚き

 

「従来、球根植物というと花の美しさばかりが注目されてきましたが、ケープバルブは葉の多様性も大きな魅力です。今回は、その多様性を知ってもらいたくて、入手しやすさや育てやすさではなく"面白さ"という基準で植物を選びました。誌面に出てくるドリミア・アカロフィラ Drimia acarophylla などは今現在、まだ入手が難しい植物ですが、多肉質な1枚の葉(ダニに擬態しているといわれる)だけの姿が面白くぜひ紹介したかったのです。ふわふわした毛のある葉やクルクルとカールした葉など、こんな植物もあるんだ、と感じてくれたらうれしいです」(藤川さん)

 

まだまだある魅力的なケープバルブ 7選

 

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1.エリオスペルマム・ムルチフィダム

Eriospermum multifidum

一部のエリオスペルマムは、葉に付属器(イネーション)と呼ばれる器官がある。ムルチフィダムは「たくさんの葉」という意味だが、じつは茎に見える部分が葉柄で、葉柄も含めその上の部分が1枚の葉。たくさんの細かい葉にみえる部分は付属器。(2月号誌面では葉に毛のついた突起状の付属器をもつエリオスペルマム・エリナム Eriospermum erinumを紹介している)

 

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2.エリオスペルマム・ヴィロスム

Eriospermum villosum

エリオスペルマムは葉の付属器に注目が集まりがちだが、じつは付属器のない種のほうが多い。この種も付属器はないが、葉に白い毛が生える。毎年同じ場所から葉が出てきて、古い葉の落ちた跡が木の皮のように残っていく姿がよい。

 

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3.アポドリリオン・マコワニー

Apodolirion macowanii

らせん状に葉が巻くゲチリスの近縁属。ゲチリスに比して栽培は容易で丈夫。2月号誌面、そしてこのこぼれ話で紹介したものは基本的に冬型(夏に休眠するタイプ)だが、この種だけは夏の終わりごろから葉が出てくるため、厳密な意味での冬型ではない。

 

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4.マッソニア・ロゲヴェルデンシス

Massonia roggeveldensis

マッソニアは近年研究が進み、分類も現在進行中で、この種も近年記載されたもの。この種は地面にべたっと張り付く葉に白い花弁と濃い紫色の葯(花粉の入った袋)との対比が魅力的。(2月号誌面ではマッソニア・プセウドエキナータ Massonia pseudoechinata を紹介している)

 

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5.ラケナリア(ポリキセナ)・エンシフォリア

Lachenalia (Polyxena) ensifolia

ケープバルブの入門種的な植物。以前はよくポリキセナの名前で球根が出回った。秋口に葉が出ると同時に花が咲く。この株は白花だがピンクのものもある。丈夫で自家受精しやすく、とったタネをまけば3年ほどで開花する。ポリキセナと呼ばれるグループは、長い間分類が混乱しており、属名・種名ともに何度か変わっている。

 

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6.ベルセイミア・カペンシス

Veltheimia capensis

ケープバルブのなかでは大型のタイプ。葉がパウダーブルーで波打つ。近縁種のブラクテアータ(V. bracteata)は比較的流通している。

 

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7.ディプカディ・リギディフォリウム

Dipcadi rigidifolium

分球しづらくあまり普及していない。写真の株は葉の巻きがゆるいが、自生地ではもっと強く巻いている。あまり派手な花ではないが、私(藤川)の好みで、こんな妖しい花もケープバルブの魅力の一つ。

 

*写真はすべて丸山光撮影

 

ケープバルブの植え替えについて

 

「ケープバルブの名前の通り、これらの植物は地中に球根(バルブ)があります。健康的に長く栽培するためには、少なくとも3年に1回、可能なら毎年でも植え替えをしたほうが良いです。球根が分球して増えたら分けて植えても構いませんが、ある程度鉢にいっぱいでも育ちます。植え替えの主な目的は用土を新しくすること、古い根のカスなどを取り除き根を更新することにあります。冬型の場合、夏に休眠し、涼しくなると地上部が展開しますが、植え替えのタイミングは成長を始める前、目覚め始めがベストです。植え替える場合は、水やりを再開する前に、9月ごろに行います。用土はあまり選びませんが、初めての人は多肉植物用や山野草用に近い水はけのよい用土を使ったほうが、失敗が少なくなります。みなさん植え替えは緊張すると思いますが(私も今でも緊張することがあります)、健全な生育のためには、ぜひ植え替えをしましょう」(藤川さん)

 

2月号の「ディーププランツ入門」では、藤川さんが"面白さ"を基準に選んだ12種のケープバルブと栽培の基本を紹介しています。ぜひこちらもご覧ください。

 

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『趣味の園芸』2月号の紹介はこちら

 

教えてくれた人

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藤川史雄(ふじかわ・ふみお)さん

園芸家/神奈川県中井町で、ケープバルブやブロメリアなどの珍奇植物を栽培・生産する「スピーシーズナーサリー」を営む。各地のイベントに出店し「藤川商店」の屋号でも知られる。

 

 

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園芸の入り口は限りなく広く、その先は限りなく深い。『趣味の園芸』テキスト連載「ディーププランツ入門」では、毎月、特定の植物を深く愛する人たちに、その植物の魅力を教えてもらいます。誌面に収まりきらなかったこぼれ話をウェブ限定で公開!

これまでのこぼれ話はこちら

 

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