アリストテレスの時代には精力剤にも? ランの歴史
ランって、いまひとつよくわからない! そんな声にお応えしてランの専門家の富山昌克(とみやま・まさかつ)さんに、ランの歴史を教えてもらいました。
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──どのくらいの種類があるのですか。
「ラン」はラン科の植物全体の総称です。名前がよく知られているカトレアやコチョウランはラン科の下の「属」というグループの名前。属の下はさらに「種」に分かれていて、その数は約2万種にもなります。
地球上の植物は約27万種あるといわれていますが、その4分の1ほどをラン科、キク科、マメ科、イネ科で占めています。種類が多い熱帯地帯なら雑草を10種とれば1本はラン科の植物という感じでしょうか。ほかの植物に比べて種類が多く、現在も進化し続けていて、地球に出現してからの歴史は浅いといえます。
──そういえば祖父がシンビジウムを育てていました。
昭和の人気のランですね。ランは時代によってトレンドがあります。平成はコチョウラン、令和ではテーブルサイズのランが人気です。孔子は香りを見いだし、アリストテレスの時代には精力剤に使われるなど、古くからランは特別な植物だったようです。
──現在のような洋ランの栽培が始まったのはいつごろですか?
200〜300年前からといわれています。世界各地で植物を採集する「プラントハンティング」が200年くらい前にイギリスで盛んになって、それがランの栽培を盛んにした要因の一つと考えられています。