ポイントは3つ! 屋上・ひさしのないバルコニーで植物を育てる
植物の好きな人にとって、屋上や広いテラスのある家は夢広がる憧れの空間です。しかし、広さゆえにどこから手をつけたらいいのかわからず、なかなか踏み切れない人もいるかもしれません。千葉大学環境健康フィールド科学センターの渡辺 均(わたなべ・ひとし)さんが、屋上やひさしのないバルコニーで植物を育てる際に大切な3つの特徴を紹介します。
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特徴1 じつは植物にはよい環境
屋上やひさしのないバルコニーは日当たりがよく、植物を育てるには最適な環境です。冬になっても霜が降りにくく、同じ植物でも地上より1か月早く開花するものもあります。また、屋上は風の影響を受けやすく、植物が元気に育つわりに地上よりも成長が抑えられます。そのためコンパクトなサイズでまとまりやすいのも特徴です。かつて渡辺さんが尺鉢でサルナシを育てたところ、それほど大きくならないものの、実を30~40個もつけたそうです。
特徴2 夏の家を涼しくできる
直射日光が常に当たる屋上やベランダは、夏場、強烈な高温となります。コンクリートの屋上なら表面温度は60℃を超え、輻射熱で家の中の温度も上がってしまいます。都市部のビルでは屋上緑化を目にすることが多くなっていますが、人の集まる場所となるだけでなく、土と植物によって屋上の温度が下がります。ビルのように土を敷くことは難しくても、深めの大きなプランターを複数寄せて簡易の花壇をつくったり、大鉢で樹木を育てることで同じような効果が期待できます。
特徴3 地上とは異なる注意点も
屋上やバルコニーでは、建物にかかる積載荷重、いわゆる土や水などの重さに気をつける必要があります。また、鉢やプランターではなく、土で直接花壇をつくる場合は、床面を傷つけないようにシートを敷きます。泥や落ち葉による排水溝の目詰まりなどにも気を配りましょう。また、人の目が届きにくいので、鳥によって収穫直前で果樹の実が食べられてしまったり、知らないうちに落ち葉が隣家に飛んでしまったりなど、この環境ならではの注意点があります。