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防虫ネットvs.農薬 コマツナの害虫対策を検証

防虫ネットvs.農薬 コマツナの害虫対策を検証
(撮影:岡部留美)

防虫ネットと農薬散布は、害虫防除の二大対策です。害虫の被害を受けやすいアブラナ科野菜を害虫から守るには、どちらが有効か比較実験しました。

 

*  *  *

 

4つの区画で害虫の被害を比較

 

アブラナ科野菜は害虫被害が多く、アオムシ、コナガ、ヨトウムシ、アブラムシなどに悩まされます。

 

家庭菜園でできる対策は二つ。一つ目は防虫ネットのトンネルがけです。畝(うね)全体をネットで覆い、物理的に害虫をシャットアウトします。二つ目は農薬(殺虫剤)の散布です。葉に虫食いの穴を見つけたら、初期に殺虫剤を散布して被害を最小限に抑えます。二つの対策をどのように行えば、被害を軽減できるのでしょうか。

 

そこで、害虫が最も多くなる6月に、異なる対策を施しながらコマツナを栽培し、被害の程度を比較しました。防虫ネットは、ホームセンターや園芸店などで入手しやすい目合い(網目のサイズ)1mmのものを使用。殺虫剤はアブラムシ、イモムシ類(チョウ目もくの幼虫)に適用があるものを、2週間に1回散布しました。最も効果があらわれたのは、どの区画だったでしょうか。

 

防虫ネットでも殺虫剤でも防げない害虫がいた

 

6月上旬にタネをまき、約1か月後に全区画を収穫しました。

 

まず目についたのは虫食いの穴です。四つの区画すべてが被害を受けましたが、葉をかき分けて探しても、イモムシ状の害虫はいません。殺虫剤でも防げなかった犯人は、いったい何者なのでしょうか。

 

株の形にも差が出ました。ネットなしの二つの区画は、草丈は低いものの、葉は厚くがっちりとしています。一方、収穫まで防虫ネットをかけていた二つの区画はヒョロヒョロに。また、全区画に白さび病が発生し、特にネットなしの2区画で症状が重くなりました。害虫と病気のダブルの被害を受け、実験は予想外の結果となりました。

 

犯人はキスジノミハムシということが判明

 

実験の結果を、園芸病害虫防除技術研究家の根本 久(ねもと・ひさし)先生に検証してもらいました。

 

「虫食いの穴は、キスジノミハムシの成虫の仕業ですね」と、明快な回答。キスジノミハムシは、目合い1mmのネットを通り抜けてしまうので防げません。また、今回散布した殺虫剤は、甲虫のキスジノミハムシには効きません。

 

「この虫は、0.8mm目合いの防虫ネットでも、ネットに触れた葉にネットの外からお尻を差し込んで産卵するので、防げません。そこで、コマツナの成長を見越してネットを広くかけ、産卵させないようにします。しかし、アブラナ科野菜の連作などによって、もともと土中に幼虫がいた可能性もあります。幼虫が羽化してネットの内部で活動すれば、ネットも役に立ちません。連作を避けることが、第一の防除策です」(根本先生)

 

一方、被害が予想されたアオムシ、ヨトウムシなどのチョウ目の害虫は、ネットと殺虫剤で防ぐことができました。

 

*続きはテキストでお楽しみください。

 

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『NHK趣味の園芸 やさいの時間』2021年4・5月号より

 

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