雑木林とバラの競演〜コピスガーデンを訪ねて
咲き誇る色とりどりのバラ。木々やほかの植物の中にあるからこそその美しさは際立つのかもしれません。園芸家の佐々木清志郎(ささき・せいしろう)さんが、福島県南相馬から栃木県那須へと移って一からつくりあげたコピスガーデンを例に新たなローズガーデンの魅力を訪ねていきましょう。
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計算された植栽がつくる秘密のローズガーデン
エントランスから下る小径に歩を進めると、目の前には一面のバラ園が突然現れます。それはまるで散策の途中で偶然見つけたバラの花園のよう。自分だけの秘密の場所にたどり着いた、そんな贅沢な気持ちにさせてくれます。
正面の奥に見えるひときわ高い木立は、濃い赤紫色のつるバラ「アイヴァンホー」。その手前左側のこんもりと茂る一角には、黄色いバラ「ウェルビーイン」を中心にサルビア・ネモローサ'カラドンナ'がすっと立ち上がり、ゲラニウム'オリオン'の青い小花が顔をのぞかせている。バラだけではなく、宿根草などとの取り合わせが美しい。そこに気づけば、思わず近寄りたくなるはず。撮影:桜野良充
ここは栃木県那須町にあるコピスガーデン。自然に囲まれたナチュラルガーデンであり、この季節に主役となっているのがバラです。園内のバラは、毎年植え替えしているために定かではありませんが、300品種を超えているといいます。
バラの足元には多種多様な宿根草が、そしてバラの合間には雑木が配されています。名称にもなっている雑木林(英語でコピス)は、ときに順路を巡る際の目隠しとして、ときにその色と形でバラの背景となるよう、計算された見事なバランスで植栽されています。だから見たこともないような美しい景色が、私たちにうれしい驚きを与えてくれるのです。
いつまでも見飽きない景色は、自然のままの姿のようで、じつはすべて周到に計算された配置による演出。ガーデンの様子はテキストでたっぷりとご覧ください。