自称「パンビオ」応援団・金子明人さんに聞く。<後編・個性が爆発 パンジー&ビオラの育種事情!>趣味の園芸10月号こぼれ話
ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」だけで読める連載「テキストこぼれ話」。『趣味の園芸』テキストの特集内容に関連して、誌面で紹介しきれなかった情報をお届けします。
今回は、10月号のパンジー&ビオラ特集で「パンビオ」の魅力について教えてくれた金子明人さんが登場。前編では、本誌で紹介しきれなかった金子さんのオススメ品種を紹介していただきました。
後編では、ユニークな品種が続々登場するパンジー&ビオラの育種事情について教えてもらいます。個性的な花々はどのように生み出されているのでしょうか。
* * *
編集部(以下、編):個人育種家の活躍がパンジー、ビオラの多様さを支えているとのことですが、そもそも個人育種家とはどのような人々なのでしょうか。
金子明人(以下、金): あまり大きくない規模で育種をしている人たちのことだよ。「個人」といってもナーセリーを経営しているような人から、本当に趣味で育種を始めた人まで、いろいろだね。
編:育種って新しい品種をつくるってことですよね? 趣味でできるものなのですか?
金:パンジー、ビオラなら始めるのは簡単! そもそも育てやすいし、すぐに結果がわかるからね。
編:「すぐに結果がわかる」というのはどういうことでしょうか?
金:まず秋冬に買った苗を次の年の5月ごろまで楽しむでしょ? その苗からタネをとって、9月ごろにタネをまく。そうすると12月ごろには花が咲く。パンジー、ビオラは、タネをとってから半年ちょっとでどんな花が咲くのか確かめられるんだよ! これだけ短い間隔で結果がわかる植物はあまりないよね。
編:なるほど! 育種の敷居がぐっと低くなった気がします。
金:そうでしょ? 始めるのは誰でも気軽にできるんだよ。もちろん、ある特徴をもつ花が安定して咲くようにするってなると数年かかるし、大変なんだけどね。
編:気軽に始められるから、たくさんの人が育種をしていて、その分さまざまな花が生み出されているんですね。
金:数が多いのは大きいけど、もっと大事なことがあるんだよ。たくさんの育種家が、それぞれのこだわりを持っているのがポイント!
前に川越ROKAさん*のところに行ったときの話なんだけどね。ある育種家が売りに出した花を見て、ROKAさんが自分だったら売りに出さないで、この株からまたタネをとりたいって言ったんだよ。
これはどっちが正しいとかじゃなくて、みんな違う感性を持っていて、それを突きつめて育種をしてるっていうことなんだよ。色でも形でも模様でも、みんなが違うこだわりを持ってるから、面白い花が次々と出てくるんだと思うよ。
編:パンジー、ビオラの多様さは、育種家の個性に支えられているんですね!
金:そうそう! こだわりがわかる、「育種家の顔が見える花」が僕は好きだよ。
編:なんだか私も育種に挑戦したくなりました。(笑)
金:やってみたらいいよ! 読者のみんなも!(笑)みんなが育種を始めて、もっといろいろな「パンビオ」が出てきたら、僕も嬉しいな。これからも「パンビオ」から目が離せないね。
*川越ROKA(かわごえ・ろか)さん。自身も育種を行いつつ、個人育種家の個性的な花々をインターネットで紹介している。川越ROKAさんについては本誌P.37でも紹介。
●個性豊かな「パンビオ」たち
金子明人さんの園芸日記(2019/11/27)より >
本誌でも紹介した「碧いうさぎ」
金子明人さんの園芸日記(2020/11/10)より >
本誌でも紹介した「ドラキュラ」
金子明人さんの園芸日記(2020/11/11)より >
本誌でも紹介した「ローブ・ドゥ・アントワネット」
<終わり>
前編はこちら!
金子明人(かねこ・あきひと)
園芸研究家/テレビや雑誌などを通じて植物の栽培法や園芸の楽しさを伝えている。自称「パンビオ」応援団。当サイトで園芸日記を公開中。毎年10~12月ごろ、日記では「パンビオ」情報も発信している。
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「テキストこぼれ話」では、『趣味の園芸』テキストの特集に関連して、担当編集者による講師へのインタビューなどをウェブ限定で公開しています(毎月2回更新予定)
『趣味の園芸』2021年10月号(9/21発売)
10月号では「パンジー&ビオラってどんな花」「お気に入りが見つかる! タイプ別品種図鑑」で、金子さんが「パンビオ」についてたっぷりと紹介してくれました。新人編集部員 "はじめて君" と一緒に基本をおさらいしたら、あなたに似合うパンジー&ビオラのタイプをチャートでチェック! 品種図鑑でお気に入りの「パンビオ」を、ぜひ見つけてみてください。