運命の花、クレマチスに出合える⁉~春の花々とクレマチス展から
「みんなの趣味の園芸」では、テキスト『趣味の園芸』特集記事のプラスα情報を、「テキストこぼれ話」というコーナーで掲載しています。その2018年5月号テキストの「こぼれ話」で、金子明人さんはクレマチスの魅力について「常識を覆された植物」という題のもとに語っています。
常識を覆された植物――。金子明人さんにクレマチスについて聞いてみた!<前編>趣味の園芸5月号こぼれ話
それによると、40年ほど前、金子さんがクレマチスの原種の一つ、テキセンシスに初めて遭遇したとき、「野生で完成された花」だと感じたそうです(今もつぼ型の花が愛らしいテキセンシスの改良種は大変人気があります)。それまで日本では花が平たく開き、「テッセン」と呼ばれるクレマチスの種類が親しまれてきたことから、若き日の金子さんにとってその花の違いが衝撃的だったのかもしれません。
一方、クレマチスはつる性であることから、その利用の仕方も様々です。過去の「趣味の園芸」テキストを紐解くと、30、40年前はカラフルな花が平たく開花するクレマチスを「あんどん仕立て」にした鉢花が人気を得ていました。
クレマチスのあんどん仕立て(撮影:蛭田有一)
やがてガーデニングという概念が広く浸透すると、欧米的なガーデン修景に適した植物として認識されていきました。つるをパーゴラやトレリスに誘引するなど、クレマチスでガーデンを彩った光景を、以来そこここで目にするようになりました。
金子さん自身もクレマチスに魅了され続け、「まさに、クレマチスのつるに絡めとられた」と述べていますが、とても頷けます。間近で観賞するもよし、遠くから景色として眺めるもよし――クレマチスはそれほどバラエティ豊かで、利用法もアイデア次第だからです(日本の都会の住宅事情を考えるとき、クレマチスはつる性なので縦方向の空間を3次元で利用でき、好都合といえます)。
さて、この多様性豊かなクレマチスを一覧できる「春の花々とクレマチス展」が3月11日(金)~12日(土)、東京・池袋のサンシャインシティで開催されます。皆さんもクレマチスとの出会いを試してみてはいかがでしょうか。運命の花、クレマチスに出合えるかもしれません。
会場は多彩なクレマチスの展示のほか、「お宝クレマチス発見ツアー」や「クレマチスなんでもクリニック」、クレマチスや春の花々を販売する「フラワーマルシェ」など盛り沢山です。
◆春の花々とクレマチス展
会期/2022年3月11日(金)~12日(土) 10:00~19:00 〈観覧無料〉
場所/サンシャインシティ 噴水広場(専門店街アルパ B1)
クレマチスでおなじみ、金子明人さん(過去、開催された「春の花々とクレマチス展」会場にて)。金子明人さんの園芸日記はこちら >
今回、初お目見えの「紅焔(こうえん)」。クレマチス「ドクターラッペル」の枝変わり。ピンクの花弁が幾重にも重なる美しい万重咲きがチャームポイント。(写真提供:サンシャインシティ)
クレマチス「水面の妖精」。薄紫色の花弁に霧状に広がる紫の斑点模様が魅力。伸びながら節々から花を咲かせる。フロリダ系のクレマチス。(写真提供:サンシャインシティ)
薄紫色で愛らしいつぼ型の花型が目を引く「貴婦人のたしなみ」。ヴィオルナ系のクレマチス。(写真提供:サンシャインシティ)
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【不定期連載】 園芸LOVE 原田が行く
「みんなの趣味の園芸」スタッフであり『趣味の園芸』シニアエディター・原田による園芸エッセイです。