風薫る5月 色、柄、形 葉が美しい木~連載「木と暮らす12か月」第2回(2022年5月号)
風にそよぐ葉、空に向かって伸びる枝。四季折々に、多彩な姿を見せてくれる樹木。テキスト連載「木と暮らす12か月」では、「花が美しい」「葉が見どころ」など、毎月テーマに沿って「育てて楽しい樹木」を紹介します。
お気に入りの木と、一緒に暮らしてみませんか?
第2回「風薫る5月 色、柄、形 葉が美しい木」
5月号に掲載した樹木のなかから、1本をご紹介!
――江戸時代から愛される、春に美しい斑入り葉
ヤマモミジ '鴫立沢(しぎたつさわ)'
モミジはカエデ類の一部の別名ですが、モミジの語源は「もみず」という動詞です。これは紅花染めで色を「もみ出すこと」に由来するといわれています。
それが転じて「葉が色づく」という意味になり、かつては葉が赤や黄に色づく樹木はすべて「モミジ」と呼ばれていました。
盆栽の世界では葉の切れ込みが少なく浅いものをカエデ、多くて深いものをモミジと呼びます。日本にはカエデ属の植物が28種自生しており、イロハモミジ、オオモミジ、ヤマモミジが代表的です。
やはり秋の印象が強いカエデ(モミジ)ですが、4~5月に展開する若葉は「春紅葉(はるもみじ)」と呼ばれ、秋に負けないフレッシュな美しさです。なかでもヤマモミジの代表品種'鴫立沢'は、江戸時代から栽培されている由緒ある人気者。新芽は黄色みを帯びていて、葉が展開していくと黄緑色から白緑色に変わっていきます。淡い葉色にくっきりと浮き立つ葉脈が美しく、涼やかです。夏の葉には濃い緑色の斑が入ります。秋の紅葉は赤から橙色に。巡りゆく季節を存分に楽しませてくれる樹木で、江戸時代から愛され続けていることに納得です。
成長が遅く、あまり大きくならないので、坪庭のような狭いスペースや鉢植えでの栽培もおすすめ。(解説・川原田邦彦)
5月号では、ほかにもおすすめの樹木を紹介しています!
★この号に掲載されています
★テキスト連載「木と暮らす12か月」
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