小さな庭の魅力。『12か月栽培ナビDo 小さな庭をつくる』にかけた思い
4月19日に発売された『12か月栽培ナビDo 小さな庭をつくる』では、小さな庭をテーマに、植物選びから土づくり、植えつけ、日常の管理までわかりやすく紹介しています。著者の河野義雄(こうの・よしお)さんに、小さな庭の魅力と本書にかける思いを伺いました。
つくるのが簡単、手入れも簡単! 小さな庭のメリット
敷地の一角に一坪、あるいは畳1畳ほどのスペースがあったら、一坪花壇をつくってみませんか。花々と暮らす日々は、かけがえのない時間となります。小さな庭といっても、人によりイメージは異なると思います。本書では、家のまわりのちょっとしたスペース、一坪(3.3㎡)程度の広さに、季節ごとに花が咲き替わるすてきな花壇をつくる方法を解説しています。
最近は大きな庭のあるお宅は少なくなっています。特に都市部ではその傾向が強く、花壇のスペースも狭くなりがちです。そんな場合でも、一坪花壇ならムリなくつくれるのではないでしょうか。
失敗を恐れずチャレンジしてください
四季折々の美しい花や風情ある葉が楽しめる小さな庭は、園芸ファンにとって憧れの存在だと思います。しかし、つくり方や手入れがわからなかったり、鉢植えの植物を庭に下してみたものの育たなかったりと、うまくいかなかった方も多いでしょう。そういう庭ビギナーに向けて必要な情報をまとめたのが本書です。
まず、基本は土づくりから。有機物をすき込んだ水はけのよい土壌ができればたいていの植物は旺盛に繁茂します。植え込む植物選びも大切です。開花時期、草丈などを解説したおすすめの植物図鑑で植栽プランを立ててください。
また、本書の特徴として、丈夫な一年草、宿根草を多く扱っています。宿根草はガーデナーの憧れですが、開花時期が限られており、本来冷涼な地域に適した植物が多いので、温暖化の進む都市部では、真夏の夜温が下がらないため生育不良になるものもあります。本書では一年草や球根植物を適宜宿根草と取り合わせることで一年中、花の咲き続ける庭を提案しています。慣れてきたら通信販売でタネを取り寄せて育苗し、植えつけるのも楽しいものです。例えば春まきで初夏に開花する黒いダリアなどもタネから栽培できます。こういう珍しい植物を植えつけるとご近所とは一味違った庭になります。
植物を生き生きと管理する一番のコツは毎日の観察です。葉裏の病害虫を発見したり、発芽や萌芽後の成長していく過程を追うとさまざまな発見があり、管理に役立ちます。また、毎日の天気予報にも注意しましょう。降水量、最低気温、最高気温など必要な情報が含まれています。
ここまで読まれて、まだ失敗を恐れている方へお伝えしたいことがあります。わたし自身、エキウム・ウィルドプレッティという植物の栽培に20年以上取り組んできました。成長すると大きな花穂をつけ、株の高さも2mにもなる見事な植物ですが、最初は失敗も多く経験しました。現在では1年で開花し株も半分のコンパクトなサイズで管理できるようになり、小さな庭でも楽しめるようになってきました。みなさんも失敗を恐れず挑戦して、うまくいかないときはいろいろ工夫して自分ならではの庭をつくってみてください。
丹精込めたエキウムを手にする河野さん。(撮影:竹田正道)
河野義雄(こうの・よしお)/園芸研究家・ガーデナー
1962年、愛媛県生まれ。千葉大学園芸学部園芸学科卒業。技術士(農業部門)、造園施工管理技士1級。種苗会社研究農場研究員ののち、アメリカ・ペンシルベニア州Longwood Gardensにて植物装飾を研修。その後、観光植物園の植物装飾やテーマパークの花壇管理に長年携わる。近年、千葉県にて希少植物などを中心とした園芸生産を開始する。NHK『趣味の園芸』の執筆等、メディアでも活躍中。
NHK趣味の園芸 12か月栽培ナビDo 小さな庭をつくる
一年中花が咲き続ける小さな庭をつくるための方法を、丁寧に紹介する一冊。土づくりから始まり、植え付け、植栽プランの立て方、庭植えに最適な植物図鑑や開花カレンダー、12か月の作業・管理方法までを網羅。ガーデンファン必携の書。
著者:河野義雄/定価:1,650円(本体1,500円+税10%)/A5判並製/112ページ
2022年4月19日発売
NHK出版 | Amazon