「銀河庭園」植栽担当に聞く〈庭園のデザイン マル秘ストーリー〉【趣味の園芸5月号こぼれ話・前編】
ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」だけで読める連載「テキストこぼれ話」。『趣味の園芸』テキストの特集内容に関連して、誌面で紹介しきれなかった情報をお届けします。
今回は、5月号の「バラ」特集内「心も体も喜ぶ 幸せのバラめぐり」にてご紹介した北海道恵庭市・銀河庭園について、スタート時の様子や園の最新情報などを、庭園全体の植栽を手がける山口百合子さんに教えていただきました。
編集部(以下、編) 30ものテーマガーデンが連なる銀河庭園全体の設計は、ガーデンデザイナーのバニー・ギネスさんが手がけられたそうですが、どのような経緯だったのでしょうか?
山口百合子(以下、山) ガーデンの創業者でもある故・庄司昭夫(レストラン「びっくりドンキー」創業者)がチェルシー・フラワーショウ(英国王立園芸協会主催のガーデンショー。毎年チェルシーで行われる)受賞作品を集めた書籍を見ていた折に、バニー・ギネスのデザインした庭の写真を目にして、感銘を受けたのです。
編 どんなところに惹かれたのでしょう。
山 バニーの自由さ、遊び心、デザイナーとしてのセンスなどだと思います。それから、庄司自らがバニーに会いにイギリスに行き、バニーの人柄に触れ意気投合し、正式に依頼することになりました。
「チェルシーツリーハウス」。英国チェルシー・フラワーショーで金賞に輝いた「小説家の庭」を恵庭の風土に合わせて再現した。そのほかにも、銀河庭園内には「ボートレースガーデン」「ドラゴンガーデン」「楽しい川辺」と3つの金賞受賞作が再現されている。(写真提供/銀河庭園)
6月の「ボートレースガーデン」。手前に咲く紫の花は、ゲラニウム・マグニフィカム。(写真提供/銀河庭園)
6月の「ドラゴンガーデン」。その名の通り、ドラゴンの顔がガーデンに遊び心を加えている。(写真提供/銀河庭園)
10月、秋深まる「楽しい川辺」の様子。(撮影/大泉省吾)
編 バニー・ギネスさんはイングリッシュローズを作出したことで知られるデイビッド・オースチン氏の姪でもありますね。
山 そうですね。バニーが銀河庭園をデザインした2002年当時は、本格的なバラブームの少し前でした。ぜひ素晴らしいイングリッシュローズについて知ってもらいたいと、当初はローズガーデンの半分ほどはイングリッシュローズだったんですよ。
編 2016年に銀河庭園にまた変化があったそうですね。
山 ガーデンデザイナーの吉谷桂子さんにスーパーバイザーとして就任していただき、銀河庭園全体のリノベーションを進めていただきました。
編 どんなリノベーションが行われたのでしょうか。
山 春から秋へと季節の花々の咲く光景が楽しめるようにと、初めに「ウエルカムガーデン」と「銀河フラワーボーダー」を新たに作り、翌年には「フラワーボーダー」の拡張、「ダリアボーダー」の新設、「ドラゴンガーデン」のリニューアルを行い、さらに2020年には「ローズガーデン」をリニューアルし、宿根草との美しいコンビネーションが楽しめるようになりました。
「ローズガーデン」すっきりとした花姿のサルビア・カラドンナと丸いアリウム・ギガンチウム。色や形の対比がおもしろい。(撮影/大泉省吾)
「ローズガーデン」内のいたるところに咲く、涼しげなブルーのキャットミントが庭を引き締める。(撮影/大泉省吾)
後編は、「銀河庭園に咲くバラ」をご紹介します。
銀河庭園(ぎんがていえん)
住所/北海道恵庭市牧場277-4
TEL/0124-34-7800(受付時間9:30~17:00)
入園料/大人(高校生以上):1,200円、小人(中学生以下):600円
*大人1名につき、小人4名まで無料。
*2022年は4月29日(金)より開園予定。
荒天などにより一時閉園になることもあります。お出かけの際は事前にご確認ください。
銀河庭園 │ エコロジーテーマガーデン えこりん村【公式サイト】
「テキストこぼれ話」では、『趣味の園芸』テキストの特集に関連して、担当編集者による講師へのインタビューなどをウェブ限定で公開しています(毎月2回更新予定)
『趣味の園芸』2022年5月号(4/21発売)
「心も体も喜ぶ 幸せのバラめぐり」では、銀河庭園のバラ畑デザイナーとして、園内にバラ畑をつくり、コンフィチュールやシロップなどバラを生かした商品開発を手がける庄司トモ子(ロズビィトモコ)さんの庭づくりにかける思いや、美しいローズガーデンの風景を紹介しています。