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育てて楽しい、食べておいしいブドウの魅力&ギモン、伴 琢也さんにもっと聞いてみました!【趣味の園芸8月号こぼれ話・後編】

育てて楽しい、食べておいしいブドウの魅力&ギモン、伴 琢也さんにもっと聞いてみま...

ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」だけで読める連載「テキストこぼれ話」。『趣味の園芸』テキストの特集内容に関連して、誌面で紹介しきれなかった情報をお届けします。

 

今回は、8月号ブドウ特集のそだレポ企画「ブドウやってみない? お楽しみ中の4人に聞きました」で、ユーザーさん4人の疑問に答えてくれた伴 琢也さんが登場。育てて楽しい、食べておいしいブドウの魅力のほか、「教えて伴さん」のコーナーで紹介しきれなかったユーザーさんからの質問にお答えいただきます。

前編ではブドウの形、糖度と鮮度のお話などをうかがいました。後編ではブドウの品種、今年の天候とブドウ栽培の見通しなどを伺いながら、前編同様、ユーザーさんからの質問にも回答いただきます!

 

編集部(以下、編):今回登場したそだレポのユーザーさんは、巨峰やピオーネ、高妻などを栽培されていました。

 

伴さん(以下、伴):じつはこの3品種は親、子、孫の関係にあります。巨峰にカノンホール・マスカットをかけあわせて子のピオーネができ、ピオーネにセンテニアルをかけあわせて孫の高妻ができました。粒の大きさや味なども異なり、3世代を育てて食べ比べてみるとおもしろいと思います。

 

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<巨峰>大粒で香りがよく、ジューシーなことから、根強い人気のある品種。
(撮影:丸山 滋)

 

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<ピオーネ>巨峰とカノンホール・マスカットをかけあわせた品種で、人気上昇中。
(撮影:上林徳寛)

 

:ブドウって品種が豊富ですが、交配しやすいのでしょうか?

 

:ブドウは基本的に果実にタネができるので、交配しやすいといえるでしょう。大粒から小粒、白系、赤系、黒系など、サイズや色が変化に富んでいますし、ワインなどの加工も盛ん。果実のなかでも人気が高いので、新しい品種が生まれやすいと思います。

 

:そういえば今年は梅雨明けが早かったですが、ブドウ栽培に影響はありそうですか?

 

:たぶん、病気は少なくなるのではないかと予想しています。前半で紹介した黒とう病は雨で広がりやすいので。ただ、水不足や粒があまり大きくならないかもしれないといった心配はありますね。大学の畑では梅雨明けと同時に急いで水やりをしました。

 

:よいこと、悪いこと、両面あるのですね。ところで長年育てているユーザーさんでも栽培に苦戦している方がいて、剪定について、こんな質問がありました。

 

「最初のころは主幹から出た側枝の2節以降で剪定していましたが、急速に収量が減りました。そこで最近は冬の剪定はほとんどしていません。また、結果枝がかたよっています。冬の剪定の勘所があれば教えてください」

 

:たぶん残す枝が長すぎたのではないかと思われます。木が弱っている場合は強めに剪定します。目安は5芽程度にして樹形を作り直します。

ただし強く剪定できる枝があるかどうかが問題です。この方の場合、枝はたくさんありそうなので、大丈夫ではないかと。夏の間は副梢に葉を2枚程度残して切り、枝を充実させます。副梢は重なりがあると下の方に光が届かなくなるので、適度にすかします。

株が元気なときは、9芽程度残すゆるやかな冬剪定をして着果量を増やし、逆に株に元気がない場合は5芽程度を残した強めの冬剪定で着果量を押さえて株の体力を温存させます。

 

:木の状態で残す芽の数を変えるのですね。続いて、消石灰の使用についても質問がありました。

 

「落葉後は、消石灰などで中和したがよいのでしょうか? 使うとすれば量はどのくらいですか?」

 

:消石灰は使ったほうがよいでしょう。落葉後に元肥としてほかの肥料を施すときに消石灰も規定量を施します。ブドウでは元肥は大事です。大学では約300坪の畑に2トン程度の元肥の牛墳堆肥を施しています。

 

:約300坪に2トン! ものすごい量ですね。

 

:そんなに多くはないですよ。大学で飼育している牛20頭から牛糞堆肥をつくって元肥にしています。

 

:なるほど!大学で飼育している牛たちがもたらしてくれる牛糞堆肥が、ブドウ栽培に有効利用されているんですね。大学で栽培している品種は何ですか?

 

:シャインマスカットです。収穫したシャインマスカットは、去年から大学構内のアンテナショップで販売しているんです。今年は9月下旬ごろになりそうです。野菜や加工品もありますよ!

 

:ぜひ食べてみたいです! そしてブドウ栽培にもチャレンジしたくなりました。大学のホームページにアンテナショップも掲載されていますね。

[参考] 東京農工大学農学部附属 広域都市圏フィールドサイエンス教育研究センター

楽しいお話とアドバイス、ありがとうございました。

 

前編はこちら!

 

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伴 琢也(ばん・たくや)

東京農工大学農学部准教授/果樹園芸学を専門とし、特にブドウとブルーベリーを研究対象にしている。国内におけるこれら果樹の栽培技術の確立をテーマに学生たちとフィールドを利用して研究中。市民講座の講師も務め、わかりやすい解説で定評がある。ブドウは食べるのも大好きで、なかでも味が濃厚な巨峰が一番のお気に入り。

(撮影:河内 彩)

 

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テキストこぼれ話」では、『趣味の園芸』テキストの特集に関連して、担当編集者による講師へのインタビューなどをウェブ限定で公開しています(毎月2回更新予定)

 

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そだレポ企画「ブドウやってみない? お楽しみ中の4人に聞きました」では、ユーザーさん4人の疑問に伴さんがアドバイス! 「本気のシャインマスカット」では、憧れのブドウ'シャインマスカット'をわが家で収穫するための、本気の栽培テクニックを紹介してくれました。

 

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8月号の内容はこちら >

 

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