多肉植物は育てる前に「生育型」を確認しよう
多肉植物は葉や幹、根などに水分を蓄え、からだのどこかが肉厚でユニーク。種類にもよりますが、生育期と休眠期がはっきりしているので季節で違う表情を見せてくれます。園芸研究家の長田 研(おさだ・けん)さんが、多肉植物を育てる前に知っておきたい「生育型」について教えてくれました。
育てる前に生育型を確認しよう
多肉植物の多くは乾燥地帯がふるさと。日本とは異なる環境に自生しています。また、種類が豊富で、生育サイクルもさまざま。そんな多肉植物を日本で育てるときに目安となるのが「生育型」です。最も生育が盛んになる気温にあたる季節で分けたもので、春秋型、夏型、冬型の3つがあります。
もし夏型の多肉植物を冬型と間違えて育てたら、元気に育ちません。生育型を知って育てることが多肉植物ではとても重要です。生育型は属名(*)から調べることができます。株を入手するときはラベルで確認したり、お店の人に尋ねたりしましょう。
*植物の分類上の名称で、エケベリア、センペルビウム、アデニウム、アガベ、リトープス、アエオニウムなどは属名です。
生育サイクルは主に3タイプ
【タイプ1】春秋型(春と秋によく育つ)
生育適温は10〜25℃で春と秋が生育期。夏は生育がゆるやかになり(生育緩慢期)、冬に休眠する。春秋型の多肉植物にはエケベリア、グラプトペタラム、セダム、センペルビウムなどがある。
【タイプ2】夏型(夏によく育つ)
生育適温は15〜35℃で夏が生育期。春と秋は生育がゆるやかになり、冬に休眠する。夏型の多肉植物にはアガベ、アデニウム、アロエ、カランコエ、パキポディウムなどがある。
【タイプ3】冬型(冬によく育つ)
生育適温は5〜20℃で冬が生育期。春と秋は生育がゆるやかになり、夏に休眠する。冬型の多肉植物にはアエオニウム、セネシオ、オトンナ、リトープス、コノフィツムなどがある。
★型にはまらないタイプも!
多肉植物は種類が多いので、3つの生育型にはっきり分けられない中間的なタイプもあります。また、日本でも暖地と寒地では環境が異なるため、冬型の多肉植物であっても寒地では寒すぎて、春秋型のような生育をするものもあります。
『趣味の園芸』9月号では、多肉植物の管理からふやし方まで、栽培の基本を詳しく紹介しています。
テキスト『趣味の園芸』2022年9月号「育ててふやす、基本をマスター! オサダ式多肉栽培術」より