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オサダ式多肉栽培術 超チャレンジ編〈長田さんの実生ハウスツアー!発芽後の管理のコツを探る〉趣味の園芸9月号こぼれ話【後編】

オサダ式多肉栽培術 超チャレンジ編〈長田さんの実生ハウスツアー!発芽後の管理のコツを探る〉趣味の園芸9月号こぼれ話【後編】

ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」で読める「テキストこぼれ話」。『趣味の園芸』テキストの特集内容に関連して、誌面で紹介しきれなかった情報をお届けします。

 

今回は、9月号の多肉植物特集で、栽培方法をビギナーにもわかりやすく教えてくれた長田研さんが登場。こぼれ話では、さまざまな多肉植物をタネから育ててきた長田さんに、タネまきの方法やその後の管理のコツを伺います。

前編は、タネまきの方法を教えていただきました。後編では、長田さんのハウスを見せていただきながら、発芽した苗の管理についてお聞きしました!

 

長田 研(以下、長):まずは、今年タネをまいた株を管理しているハウスです。

 

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今年タネをまいた、さまざまな種類の多肉植物がトレイで管理されている。(撮影:安部まゆみ)

 

編集部(以下、編):(ハウスに入って)かなり蒸し暑いです!

 

長:そうですね。35℃くらいになるようにしています。多くの多肉植物はこのぐらいの温度があると発芽しやすいです。発芽するまではとにかく乾燥させてはいけないので、適度な湿度を保つのも大切です。サボテンは他の多肉植物よりも、気温・湿度ともにもう少し高いとよりよいです。

 

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ユーフォルビア・オベサの双葉。双子葉類であることは意外と知られていない?(撮影:安部まゆみ)

 

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子葉が出てきたアガベ 笹の雪(ささのゆき)。前編でまいたタネは1~2週間ぐらいでこのように発芽する。こちらは単子葉類。(撮影:安部まゆみ)

 

編:どれも小さくてかわいいですね! オベサも笹の雪も、成長したあとの姿しか知りませんでした。子葉を初めて見る方も多いのではないでしょうか。

 

長:発芽したら、別のハウスに移して管理します。タネまきから1年後ぐらいまでの株を集めたハウスがあるので、そちらもご案内します。

 

編:(ハウスを移動して)今度は蒸し暑くありません!

 

長:そこがけっこう大事なポイントです。発芽までは乾燥しないように湿度を保ってあげる必要があるのですが、発芽後もそのまま管理し続けると、蒸れて芽が溶けたようになくなってしまいます。このハウスは気温も湿度も外気と同じくらいです。

 

編:実生栽培に失敗してしまった方から「発芽したのに少ししたら溶けてなくなってしまった」と聞いたことがあるのですが、原因はそれだったのかもしれません。

 

長:ただし、水は多めに与えてください。幼い苗に水切れは厳禁です。

 

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発芽から1年ほどたったユーフォルビア・オベサ(撮影:安部まゆみ)

 

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どれも同じ時期にタネをまいたオベサだが、生育に差があり、双葉も混ざっている。まいてから1~2年間発芽しなくても、遅れて芽を出すことがある。(撮影:安部まゆみ)

 

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同じく1年ほどのパキポディウム‵タッキー′。(撮影:安部まゆみ)

 

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こちらはパキポディウム‵恵比寿大黒′。生育に差がつき始めている。生育のよい「飛び苗」は将来の親株候補。生育の遅い株も根気よく育てれば、面白い株姿になるものがある。(撮影:安部まゆみ)

 

長:種類によって違いはありますが、本葉が出て、大体このぐらいの大きさに育ってきたら、鉢上げできます。割りばしなどを使ってなるべく根を切らないように掘り上げて、2.5号程度の鉢に多肉植物用培養土で植えつけてください。根の間にすき間ができないようにしっかりと用土を入れましょう。

鉢上げ後は、すぐには水を与えません。3~4日たってから与えてください。

置き場は雨の当たらない明るい日陰がよいです。そこに1~2週間置いたら、日当たりと風通しがよい場所に移して管理します(置き場についてはテキストp.44参照)。

 

編:発芽後から鉢上げまでが山場ですね。

 

長:ついでに親株を管理しているハウスもご案内します。

 

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親株ハウスのユーフォルビア・オベサ(撮影:安部まゆみ)

 

編:立派なオベサがたくさんあります!

 

編:ここにあるオベサ同士で授粉してタネをとっています。オベサは成長するとどんどん木質化していくのですが、その模様が株によって全然違います。この模様が好きでオベサを集めている愛好家もいるみたいです。

 

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ユーフォルビア・オベサの雌花。雄花から脱脂綿などで花粉をとって、雌花につける。左下はタネができてふくらんでいる。(撮影:安部まゆみ)

 

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ユーフォルビア・オベサの雄花。雌花と形が違う。(撮影:安部まゆみ)

 

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さやが茶色くなったらタネをとれる。(撮影:安部まゆみ)

 

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パキポディウム・デンシフロルムのタネが入ったさや。(撮影:安部まゆみ)

 

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1か月ほどでさやが開いてタネがとれる。タネには羽のようなものがついていて、風に乗って飛んでいってしまうので、袋がけを忘れずに。(撮影:安部まゆみ)

 

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アデニア・グラウカの実は熟すとキンカンのような黄色になる。(撮影:安部まゆみ)

 

編:オベサの花やパキポディウムにタネがついているところなど、今まで見たことのない姿を見ることができて楽しかったです! 子葉が出たばかりの幼い苗からタネがついた立派な親株まで、一生を見ているうちになんだかオベサに愛着がわいてきました。

 

長:タネから育てるのに興味のある方には、ぜひタネとりにも挑戦してみてほしいですね。難しい種類もありますが、おっしゃる通り、いろいろな姿を見ることができて楽しいですよ。

 

編:今回はありがとうございました。

 

<終わり>

 

前編はこちら!

 

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長田 研(おさだ・けん)

園芸研究家/アメリカ・バージニア大学で生物と化学を専攻。静岡県で多肉植物を中心としたナーセリーを営む。タネまきのほとんどを自ら手がけている。

(撮影:阿部まゆみ)

 

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テキストこぼれ話」では、『趣味の園芸』テキストの特集に関連して、担当編集者による講師へのインタビューなどをウェブ限定で公開しています(毎月2回更新予定)

 

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