実り多き冬ごもりの日々~連載「イーサゴの庭仕事」第9回(2022年12月号)
北国から毎月お届けするテキスト連載「岩手の四季をつむぐ イーサゴの庭仕事」。
岩手県花巻市内に位置するイーサゴ ナーセリー&ガーデン。早池峰山(はやちねさん)を望むのどかな田園風景の中、営むのは、及川洋磨さん・真由美さんご夫妻。自作のクレマチスや、寒冷地向きの植物とともに、北国の厳しくも美しいナチュラルガーデンの1年をお送りします。
12月号掲載、第9回の内容をご紹介!
第9回「実り多き冬ごもりの日々」
植物が休眠する冬 1年を振り返り翌年への糧に
ひんやりとした冷たい空気に、本格的な冬を感じる12月がやってきました。イーサゴの庭とショップの営業は、年間30日ほど。私たちの生業の中心は、あくまでもクレマチスの生産と育種です。そのため、庭とショップのメンテナンスはできることを厳選し、クレマチスとそのほかの植物が輝くための管理作業を着実に進めています。
冬にまず行うのは、1年間の振り返りです。植物のパフォーマンスはどうだったか、施肥のタイミングや剪定の結果はよかったか、お客さんの反応はどうだったか、そして何より、自分たちが楽しめたか......。一つ一つ点検することで、庭の植栽や林の管理、ディスプレイ用の植物の変更、弱っている植物の回復、肥料や土の調整など、具体的なことが次々と浮かび、やるべきことが自然と決まります。
ショップ内のメンテナンスもこの時期に行います。特に、イーサゴの特徴である木造のエントランスや塀、小屋、ウッドデッキなどのメンテナンスは毎年少しずつ行い、いい感じに時間の蓄積が表れるようにしています。
(「洋磨さんのガーデン便り」より)
1年の庭の彩りをクラフトに閉じ込めて
庭が雪に閉ざされる前に採取した草花は、クラフトづくりやショップ内の装飾に使われます。色を失ったシードヘッド(タネを結んだ花がら)は、人の手では決してつくり出せないような造形美にあふれています。
イーサゴの庭にあるものだけを使ってつくるリースは、土台から手づくり。赤が美しいサンゴミズキ'エレガンティシマ'の枝は、しなやかなので形がつくりやすく重宝しますし、初夏に葉がピンク色を帯びるミヤママタタビは、秋の剪定でたくさんのつるがとれるので、ぐるぐる巻きにして使うのにちょうどいい。いずれもしっかりと束ねるというよりは、ルーズにまとめるのがイーサゴ流。すき間や余白のあるつくり方を好んでしています。
(「真由美さんの庭仕事便り」より)
テキストで、ガーデンの美しい風景をたっぷりとご覧ください。
★この号に掲載されています
園芸研究家 及川洋磨(おいかわ・ようま)
及川フラグリーンにてクレマチスの新品種の開発と苗の生産に従事。クレマチスの魅力と可能性を発信するためイーサゴ ナーセリー&ガーデンを立ち上げ、ナーセリーを担当。
ランドスケープデザイナー 及川真由美(おいかわ・まゆみ)
ランドスケープ設計事務所所での勤務を経て、及川フラグリーンへ。以来、圃場内の庭の計画と手入れの実務を担当している。イーサゴ ナーセリー&ガーデンではガーデンを担当。
※ショップおよびガーデンは期間限定でのオープンとなります。詳しくはHPをご覧ください。
★テキスト連載「イーサゴの庭仕事」
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