クリスマスを満喫する天然ブルーの木~連載「木と暮らす12か月」第9回(2022年12月号)
風にそよぐ葉、空に向かって伸びる枝。四季折々に、多彩な姿を見せてくれる樹木。テキスト連載「木と暮らす12か月」では、「花が美しい」「葉が見どころ」など、毎月テーマに沿って「育てて楽しい樹木」を紹介します。お気に入りの木と、一緒に暮らしてみませんか?
第9回「庭で、鉢で。クリスマスを満喫する天然ブルーの木」
12月号に掲載した樹木のなかから、1本をご紹介!
――整った円錐形でブルーの葉
アルプスモミ'グラウカ・コンパクタ'
12月、華やかなクリスマスツリーを多く見かける季節です。聖夜にツリーを飾る習慣は、ヨーロッパ各地で行われていた冬至の祭りがルーツで、生命力の象徴として常緑樹を飾ったことに由来するといわれています。
クリスマスツリーの定番、モミの木はコニファー(針葉樹)の一種です。コニファーには、葉が緑色のもののほかに、黄色葉系と青葉系があります。スモーキーなブルーが美しい青葉系ですが、葉そのものが青いわけではありません。針葉樹特有の松やにが葉の気孔からにじみ出して、緑色の葉の表面に付着して青く見えるのです。その証拠に葉にはべたつきがあり、指でこすると下地の緑が見えます。
おしゃれな青葉系のコニファーのなかで、庭でも鉢でも楽しめるクリスマスツリーとしておすすめしたいのが、アルプスモミ'グラウカ・コンパクタ'です。芽出し時期の葉色はペパーミントグリーンで、成長が止まると青みが増して明るい水色になります。本種は葉先が丸く、触っても痛くないことも、ありがたいポイントです。
原種は緑葉系で、北米西部のロッキー山脈に広く分布しており、巨木になります。しかし、本品種は「コンパクタ」の名前のとおり成長が遅く、つぎ木から10年で1m前後と、さほど大きくなりません。樹高が30cmを超えると均整のとれた円錐形になり、その後もほぼ剪定なしで、きれいな樹形を保つことができます。1927年にオランダで作出され、ヨーロッパや北米の個人宅でも、庭植えのクリスマスツリーとして、長年人気を集めています。(解説・眞鍋憲太郎)
12月号では、ほかにもおすすめの樹木を紹介しています!
★この号に掲載されています
★テキスト連載「木と暮らす12か月」
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