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【趣味の園芸 創刊50周年】『趣味の園芸』を小笠原家三代が語る。 最大の謎は「園芸」という言葉。

【趣味の園芸 創刊50周年】『趣味の園芸』を小笠原家三代が語る。 最大の謎は「園芸」という言葉。
左から、小笠原左衛門尉亮軒さん、小笠原 悠さん、小笠原 誓さん(撮影:田中雅也 撮影協力:名古屋園芸)

『趣味の園芸』の創刊は1973年4月。2023年4月号でちょうど50周年を迎えます。創刊当初から三代にわたって、講師としてご登場いただいている小笠原家の皆さんに、テキスト『趣味の園芸』と園芸界の50年を振り返っていただきました。

4月号掲載「小笠原家三代が語りつくす テキスト創刊50周年を寿(ことほ)ぐ」より、鼎談の一部を抜粋して、公開します!

 

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小笠原左衛門尉亮軒(おがさわらさえもんのじょうりょうけん)さん 

1933年生まれ。1957年に名古屋園芸を創業。現在、取締役隠居。(一財)「雑花園文庫」庫主。第71回日本放送協会放送文化賞受賞。テキスト初登場は1973年12月号の「冬をたのしむ鉢植え」。

 

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小笠原 誓(せい)さん 

1959年生まれ。園芸研究家。名古屋園芸代表取締役。テキスト初登場は1995年7月号の「グズマニア」。「番組は公開収録。『半日陰で育てよう』と説明しながらも会場は炎天下。まいりました」。

 

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小笠原 悠(ゆう)さん 

1986年生まれ。園芸研究家。名古屋園芸常務取締役。講師初登場は2022年10月号の「シダがスタイリッシュ!」。「じつは3歳のころ、隠居の育てたマスクメロンとともに写真で登場しています」。

 

日本の伝統植物が多かった創刊当時

 

 テキスト『趣味の園芸』は、隠居(亮軒さん)が初期のころから関わっていたこともあり、私もずっと読んできました。

 

亮軒 テレビ放送の「趣味の園芸」は1960年代から。その内容は当初、テキスト『婦人百科』に掲載されていて、好評だということで、1973年4月にテキスト『趣味の園芸』が創刊された。園芸に関わる人間として、うれしかったね。

 

悠 じつは今回初めて、創刊号を見ました。表紙はサクラソウだったんですね。

 

亮軒 描いた太田洋愛画伯は日本の植物画を代表する方で、かつては植物学者の大賀一郎先生(大賀ハスの実の発見者)のもとで植物画を描いていました。4月から始まる連続テレビ小説「らんまん」は牧野富太郎が主人公のモデルだそうですが、太田画伯は牧野先生とも交流があったそうです。

 

悠 初期のころ、取り上げられている植物はバラ、サツキ、キク、ウメなど、今と少し印象が違います。

 

亮軒 当時、番組はNHKの東京局とともに、大阪局、名古屋局でも制作されていて、講師は各地を代表する専門家。取り上げるのは日本の伝統植物が多かった。

 

誓 隠居はすでに園芸植物の小売業を始めていて、地元の園芸家や研究者とも親しかったから......。

 

亮軒 それで名古屋局制作の番組用に、花苗や鉢などの資材を提供しているうちに、番組に出るかということになった。最初のうちは専門家の少ない植物の担当がよく回ってきて、一種の便利屋ですな(笑)。しかし、おかげで勉強になったもんです。

 

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テキスト『趣味の園芸』創刊号(1973年4月号)。日本の植物画を代表する太田画伯が4年間にわたって表紙を飾った。

 

「園芸」という言葉は誰がつくったのか

 

 そしてテキストも創刊50周年。園芸の専門誌がこんなに長く続いているのは、すごいことですね。

 

亮軒 農業関係の雑誌で歴史の長いものはあるが、園芸だけでしかも月刊誌となると、なかなか類を見ない。時代をさかのぼれば、日本園芸会が1889年(明治22年)4月に創刊した『日本園芸会雑誌』。大隈重信が会長になったあと、1905年(明治38年)7月から『日本園芸雑誌』と名前を変えて、第二次世界大戦末期の1945年(昭和20年)1月まで続いた。月刊になったのは、1900年(明治33年)だから約45年間。『趣味の園芸』はそれと肩を並べる存在になったということかもしれない。

 

 それにしても、最大の謎は「園芸」という言葉。明治時代になって、忽然と現れたもので、英語のhorticultureの翻訳かなとも思うけれど、初出がまだわかっていない。

 

亮軒 江戸時代の文献にはまったく出てこない。明治時代の初期か中期か。はてさて、誰が訳したものか。

 

 「園芸」の翻訳者を探せ、ですか。読者の皆さんにも呼びかけたいですね。どこかの土蔵から、文献や史料が新たに発見されたら大ニュース。しかも、大隈重信とか、福沢諭吉、夏目漱石、正岡子規だったりしたら、もう大騒ぎになるはず(笑)。

 

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名古屋市の小笠原家にて。床の間の掛け軸は植物学者・牧野富太郎直筆の都々逸(どどいつ)。「沈む木の葉も流れの具合 浮むその瀬のないじゃない」

 

鼎談の全文は、創刊50周年記念号『趣味の園芸』4月号でお読みいただけます。

 

撮影:田中雅也 撮影協力:名古屋園芸

 

★この号に掲載されています

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『趣味の園芸』2023年4月号 「小笠原家三代が語りつくす テキスト創刊50周年を寿ぐ」 より

【創刊50周年記念号】いまこそ育ててほしい植物50種を一挙紹介! 稲垣吾郎さんの「グリーンサム」新シリーズや、「らんまん」で注目の牧野富太郎関連企画、楽しい新連載もスタート。豪華な愛読者プレゼント&とじ込み付録「栽培計画シート」も!

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