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もう、バラは難しくない。『新しいバラ 強く、美しく咲かせる』著者・木村卓功さんインタビュー

もう、バラは難しくない。『新しいバラ 強く、美しく咲かせる』著者・木村卓功さんインタビュー
写真左は、木村さんの最新刊『新しいバラ 強く、美しく咲かせる』の表紙にもなったバラ「ファイア オブ プロメテウス」(撮影:竹田正道)

世界中のバラをよく知る育種家の木村卓功さんは、「バラはいま革命的な変化の時を迎えている」といいます。どういうことでしょうか。木村さんが「次世代のバラ」と呼ぶ、強く美しいバラについて栽培ノウハウをまとめた著書『NHK趣味の園芸 新しいバラ 強く、美しく咲かせる』の出版を記念して、進化を遂げる新しいバラについて教えていただきました。

 

「バラの栽培は難しい」は本当か?

 

バラを育てている方から「写真で見るようにきれいに咲かせるのは難しい」という悩みを聞くことがあります。確かにプロと同じように咲かせるのはハードルが高いと思いますが、20~30年前に比べると、バラの栽培はかなりやさしくなっています。 

病気に強くなって、薬剤散布の手間が減っているのが第一の理由です。以前のバラの多くは、生育期は月に3~4回の殺菌剤の散布が必要でした。でも最近の品種のなかには、年に5回とか、年にわずか2回の殺菌剤散布で問題なく育つものがあります。害虫対策は必要ですが、全体として薬剤散布の負担はだいぶ軽くなっています。 

また、四季咲き品種が一般的になったことも、バラ栽培がやさしく感じられる背景にあるかもしれません。一番花が満足に咲かなくても、そのあとリカバリーに専念すれば秋の花を楽しむチャンスがありますから。 

加えて、最近は夏の暑さに強い品種もふえてきました。暑さに弱い品種の場合、関東地方以西の平野部では、真夏に暑さ負けして弱ってしまうことがありますが、最近は耐暑性の強い品種が生まれています。 

 

これからは手間をかけずに楽しむ

 

バラの栽培で最も大切なのは、葉を落とさないことです。病気や害虫の被害で葉がすっかり落ちることがよくありますが、こうなると、まともな花は咲きません。

バラを育てて数年たつのに毎年数輪しか咲かないとか、これから育ててみたいという人は、四季咲き性で耐病性の強い、この10年ほどで生まれた新しい品種を育ててみてください。 

私はこうした品種を「次世代のバラ」と呼んでいますが、病気に強い分、手間を省けます。少しの薬剤散布、夏と冬の剪定、2~3年ごとの植え替えなど、最低限の作業を怠らなければ、きれいに咲きます。 

新たに購入するなら、最初はブッシュ(木立ちタイプ)のバラがよいでしょう。枝が伸びすぎず剪定が簡単ですし、比較的コンパクトにまとまるので、鉢でも庭でも育てやすいのがメリットです。 

ブッシュに慣れたら、次はシュラブ(木立ち~半つるタイプ)のバラを選んで、自分の剪定で樹形をコントロールすることを覚えるとよいでしょう。 

 

新しいバラの魅力

 

次世代のバラは病気に強く薬剤散布が少なくてすむといいましたが、こうしたバラは環境にやさしいという点からもおすすめです。そして、環境にやさしいバラは私たち人間にもやさしいことはいうまでもありません。 

最新の品種は花形や花色のバリエーションもふえています。宝珠(ほうじゅ)形の花弁をもつバラ、繊細でありながら傷みにくい花弁をもつバラ、以前はほとんどなかった青っぽい色の花。特定の色の表現に収まらない微妙なニュアンスや、複色のバラも目立つようになりました。香りの豊かな品種も続々と誕生しています。 

バラはその長い歴史の中で、2010年ごろから大きな転換点を迎えていると私は考えています。1867年のモダンローズ誕生以来の大きな転機にある、ということです。古代ギリシャで栽培が始まったといわれるバラは、3000年以上の時を超えて、四季咲きで、花色、花形がふえ、香りが豊かになり、病気や暑さに強くなったのです。 

私の最新刊では次世代品種を多数紹介し、それらに対応した栽培方法も詳しく解説しています。さらに、オリジナルの品種を生み出すノウハウも紹介しました。本書を手に、皆さんも最先端のバラのすばらしさを、ぜひご自身で体感してください。

 

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木村卓功(きむら・たくのり)

バラ育種家。埼玉県杉戸町でバラの育種と苗木の生産・販売を手がける。四季咲き性で病気に強く、高温多湿の気候でも育てやすい新品種を毎年発表。世界的な品種コンテストでの受賞歴も多数。より美しく、より手軽に楽しめるバラの栽培方法も提案している。著書に『NHK趣味の園芸 鉢で美しく育てるバラ』(NHK出版)など。

(撮影:竹田正道)

 

木村さんの最新刊『NHK趣味の園芸 新しいバラ 強く、美しく咲かせる』

 

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もう、バラは難しくない!これからのバラの品種と、最高の花を咲かせるテクニック

世界的な育種のプロ・木村卓功さんが、ノウハウのすべてを注ぎ込んで解説するバラ栽培ガイドブック。世界中で急速に改良が進む最新品種の特徴や、栽培テクニックを詳しく解説。併せて、自分だけの(オリジナルの)バラを生み出す交配テクニックも紹介。ビギナーから上級者まで必携の一冊。

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2023年4月19日発売
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