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夏野菜を元気に育てるプロのコツ~基本のお手入れ3か条【やさいの時間6・7月号こぼれ話】

夏野菜を元気に育てるプロのコツ~基本のお手入れ3か条【やさいの時間6・7月号こぼれ話】
撮影(右)/福田稔

『やさいの時間』6・7月号では、4~5月に栽培を始めたトマトなど夏野菜のトラブルを解決する「夏野菜レスキュー」特集を掲載。弱った野菜を復活させるプロの技を、野菜別に紹介しています。教えてくれたのは、東京都練馬区の体験農園園主である加藤正明さん。誌面で紹介しきれなかった内容を紹介する「こぼれ話」では、すべての夏野菜を元気に育てるための、基本のお手入れ3か条をご紹介します。

 

【その1】野菜のお世話はきれいな手で!

 

編集部(以下、編):3か条ということですが、1つ目のポイントは何ですか?

 

加藤正明さん(以下、加):作業の前に手を洗うことです。

 

:ちょっと意外です。もっと、難しいポイントかと思っていました。誰にでもできる、基本的なことですね!

 

:そうなんですが、みなさんの様子を見ていると、意外とできていないんですよ。どうせ、土に触わって汚れるから、洗わなくてもいいだろうと思っている人もいるみたいで(笑)。
手にはさまざまな雑菌がついているので、汚い手で野菜に触わると病気を引き起こす可能性があります。まずは、きれいに手を洗いましょう。人間の赤ちゃんや子どもに接するときと同じことですよ。

 

【その2】ハサミは洗う&消毒が必須!

 

:野菜に、きちんと向き合う姿勢が大切なんですね。2つ目のポイントを教えてください。

 

:ハサミをきれいに保つことです。

 

:えっ、そんなことで野菜が元気に育つんですか!?

 

:汚れたハサミも、汚れた手と同様に、病気の感染源になる場合があるんですよ。
例えば、ハサミを使って収穫や整枝をして、使用後に洗わなかったとします。細かいかすなどがハサミに残っていますから、雑菌が繁殖しやすくなりますよね。その汚れたハサミを収穫や整枝に使ったら、野菜に雑菌がついて病気になる可能性が高くなります。
ですから、ハサミは使ったらきれいに洗い、使う前には消毒して、きれいに保つことが大切なんですよ。

 

:料理の前後に、包丁やまな板を洗うのと同じことですね。

 

:そうですね。ハサミのせいで、せっかく育てた野菜に病気にまん延してしまったら、本当に残念ですよね。

 

:具体的には、どうやって洗ったり、消毒したりすればいいですか?

 

:使用後は、基本的には水洗いで十分です。水では落ちないひどい汚れは、食器用洗剤で洗いましょう。
消毒には、エタノールの使用がおすすめです。細菌だけでなく、ウイルスも除去できて、ウイルス病も防げます。エタノールを容器に入れてハサミをひたすか、スプレーで吹きかけるだけで効果がありますよ。

 

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消毒する場合、ハサミが1丁だけなら、消毒液をハサミの刃にスプレーするのが手軽。ハサミの数が多い場合は、消毒液を容器に入れて、ハサミの刃全体をひたすとよい。(撮影/成清徹也)

 

【その3】収穫や整枝は晴れた日に! 野菜の"傷口"が早く乾く

 

:3つ目のポイントは何ですか?

 

:収穫や整枝は、晴れた日にやるということです。

 

:なぜ、くもりや雨の日に作業をするとダメなんですか?

 

:正確には、くもりの日は△、雨の日は×という感じです。もっと言うなら、晴れた日でも夕方よりは午前中か、午後の早い時間帯のほうがいいんですよ。

 

:晴れた日でも、夕方はダメなんですか?

 

:できれば、避けたほうがいいですね。
収穫や整枝などの作業は、じつは野菜に"傷口"を作るということ。この傷口が、病原菌の侵入口になってしまうんです。人間がケガをした場合でも、傷口が早く乾いてかさぶたになったほうが、化膿せずに早く治りますよね。野菜もそれと同じで、収穫や整枝でできた傷口は、早く乾いたほうが病気予防になるんですよ。

 

:だから、傷口が乾かない雨の日は×、乾きにくい曇りの日と晴れた日の夕方は△、すぐに乾く晴れた日の午前中~午後早めの時間帯は〇ということなんですね!

 

:そうです。晴れた日も、夜には夜露で湿度が上がりますから、夕方だと傷口が乾く時間が短くなって△ということです。

 

:教えていただいた3つのポイントは、すべて簡単なことばかり。これなら、すぐに実践できそうです!

 

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トマトのわき芽を摘み取る「わき芽かき」なども、野菜に傷口を作ってしまう作業。晴れた日に行うのはもちろん、わき芽が小さいうちに摘み取ると、傷口が小さくてすむメリットもある。わき芽を取り除くとき、パキッと折り取れない場合はハサミで切るとよい。無理に手で折ろうとすると、茎の表面の皮ごとはがれ、雑菌の侵入口を広げることになってしまう。(撮影/成清徹也)

 

加藤正明(かとう・まさあき)
東京都練馬区の体験農園「百匁の里」園主、東京都指導農業士。『やさいの時間』の栽培管理を担当している。著書に『かゆいところに手が届く! 野菜作り 達人のスゴ技100』(NHK出版)など。

 

次回の「こぼれ話」のテーマは、イチゴを予定しています。お楽しみに!〈6月上旬頃公開予定〉

 

▼これまでのこぼれ話はこちらからお読みいただけます

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『やさいの時間』編集部によるテキストこぼれ話。誌面で紹介しきれなかったお役立ち情報を、ウェブサイト「みんなの趣味の園芸」で公開!【不定期公開】

 

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『やさいの時間』2023年6・7月号

4~5月に栽培を始めたトマトなど夏野菜のトラブルを解決する「夏野菜レスキュー!」特集。「もう実がつかない!」「株がしおれちゃった...」弱った夏野菜を復活させるプロの技を、野菜別に紹介しています。

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